Myriel

 世界システムと女性


【 書  名 】世界システムと女性
【 著 者 】M.ミース、C.v.ヴェールホフ、V.ベンホルト=トムゼン
【出 版 社】藤原書店
【発 行 年】1995年2月25日
【 価 格 】4800円
【  ISBN  】4-89434-010-0
【KeyWords】マルクス主義フェミニズム、エコロジー、アジア、ラテンアメリカ、
      世界システム論、開発、エコ・フェミニズム

【 内 容 】

 日本語版への序                        (ミース)

 序                              (ミース)

 第I部 女性労働と資本主義

  1 農民と主婦が、資本主義世界システムの中で消滅しないのはなぜか
                             (ヴェールホフ)
  2 資本主義の発展とサブシステンス生産           (ミース)
  3 貧困層への投資              (ベンホルト=トムゼン)

 第II部 女性と自然の植民地化

  4 性別分業の社会的起源                  (ミース)
  5 「国家」と「資本」と「家父長制」の関係をめぐって (ヴェールホフ)
  6 女性労働と暴力              (ベンホルト=トムゼン)

 第III部 女性に対する政策と女性の闘い

  7 インド農村における階級闘争と女性の闘い         (ミース)
  8 なぜ第三世界においても主婦が作られ続けるのか
                         (ベンホルト=トムゼン)
  9 プロレタリアは死んだ、主婦万歳!         (ヴェールホフ)

【コメント】

 古田睦美・善本裕子による、Mies, M., WOMEN : THE LAST COLONY, London, 
Zed Books, 1988、の訳です。ただし、一部、原著者の意向によって論文が差し
替えられていて、その部分が最新の論稿になっています。また、日本語版への
序文も付け加えられています。

 マリア・ミースらは94年春に来日し、各地でシンポジウムに参加しました。

 いささか残念なのは、本書の造りで、註が簡略化されているということ、また、
タイトルが原題から変更されているということ、そしてこれが最大だと思うので
すが、「値段が高い」ということです(笑)。これらはどちらかというと出版社
の責任でしょう。
 そのかわり、訳文は、特に古田訳の章は、正確さよりも読みやすさを心がけた
文章だと言えます。(もちろん、内容はまた別。)善本さんの訳はやや硬いかも
しれません。これは、彼女が担当した部分が基本的にドイツ語からのものだとい
うこともあるでしょう。

 本書の基本的な目的は、既存の社会科学の概念を、人口の大多数の部分を占め
る存在――女性、および、第三世界の農村人口――を分析対象にできるようにす
るために刷新し、それを使って分析をおこなうことにあります。
 すなわち、旧来の「労働」「プロレタリア化」「市場」などといった概念では、
主婦の労働や農村におけるインフォーマルセクターでの経済関係を分析できない
のだが、しかし、これらの「非資本主義セクター」が資本主義世界システムが維
持され、拡大するためには必要不可欠な部分である以上、分析の外に置くことは
できないのだ、ということです。彼女たちは基本的な発想を、イマニュエル・ウ
ォーラースティンの世界システム論、また、もっとさかのぼって「資本主義シス
テムが再生産されるには、資本主義でない部分が必要である」ことを主張してマ
ルクスの再生産表式を批判したローザ・ルクセンブルクから引継いでいます。そ
して、彼女たちが新しく提起する概念が、「主婦化」と「継続的本源的蓄積」と
いうものです。これらの概念については、文中にも、また訳者の古田さんによる
「解題」にも解説がありますので、そちらにゆずりますが、きわめて斬新で、か
つ説得力をもつ議論であると評価できるでしょう。

 これもまた、フェミニズムによる理論と実証分析の最先端の一つです。

(1995/03/06)


This page written by TAKAHASHI, June (june.takahashi@nifty.ne.jp)