Myriel

 親指Pの修業時代


【 書  名 】親指Pの修業時代
【 著 者 】松浦理英子
【出 版 社】河出書房新社・河出文庫文藝コレクション
【発 行 年】1995年9月4日
【 価 格 】上・580円、下・560円
【  ISBN  】上・4-309-40455-3
      下・4-309-40456-1
【KeyWords】セクシャリティ、恋愛

【 内 容 】(裏表紙から)
 「ある夕暮れ、午睡から目覚めると左足の親指がペニスになっていた――。驚
くべき奇想とともに始まる性の遍歴を描いて、発表直後から圧倒的な反響を呼び、
90年代の文学に画期的な地平をひらいた第三十三回女流文学賞受賞の名作。」
 「性の見せ物一座に加わった、親指ペニスを待ち受ける数奇な運命は‥‥。新
たなセクシュアリティのあり方をラジカルに問いかけながら、かつてない文学世
界をつくりだした、近年、最大の話題作。96年、映画化決定。待望の文庫化!」

【コメント】
 文庫化されたのを機会に紹介することにしました。
 女性の足指がペニスになる、それはちゃんと勃起して、16、7cmになり、それ
で男性の性器と同じようなセックスもできる、という設定がまず奇抜、というと
ころでしょうか。射精はしないけど、性感はあり、オルガスムも感じる。勃起は
しても、主人公はそれを男性がペニスを使うようには使わない。性器のようでは
あるけど、性器ではないのが、親指ペニス。
 「私がこの小説において読者に与えたかったのは、性器的な快楽ではなくて、
非性器的な快楽なんです。」(下巻、「親指ペニスとは何か」)と作者自身が言
っているように、主人公が体験するその後の性体験は、最初に付き合っていた恋
人との関係ではとうてい得られなかったようなものになっていきます。レズビア
ンの関係もそのうちの一つで、そのレズビアンの関係が壊れることを覚悟した主
人公の心に浮かぶ言葉も、性関係を失うことがつらいというのではなくて、「親
密さ」の喪失を予期して悩む、というふうになっています。
 ‥‥うまく説明できないんですが、これはもう読んでいただいた方がいいかも
しれません。

(1995/09/21)


This page written by TAKAHASHI, June (june.takahashi@nifty.ne.jp)