Myriel

 セカンドマリッジガイド


【 書  名 】自分からはじめる セカンドマリッジガイド
【 編 者 】木本喜美子
【出 版 社】KDDクリエイティブ
【発 行 年】1995年8月15日
【 価 格 】1200円
【  ISBN  】4-906372-32-5
【KeyWords】結婚、法律、セクシャリティ、老後

【 内 容 】
【コメント】

 変わった本です。まず本を開こうとして、「あれ?」っと首を傾げました。そ
う、これ、小振りの辞書とかによくある装丁なのです。綴じ方、表紙の触感、な
どなど‥‥。まさに「使ってください」という感じの〈ガイドブック〉です。
 Part I は、結婚って何?という原論(木本喜美子「1人の気楽さ、2人の喜
び」)。ここで筆者は、結婚のステージを3つに分けています。1番目が「性欲
婚」、2番目が「子育て婚」、3番目が「愉快婚」。
 最近、結婚相談所を訪れる40代の人が多くなっているそうですが、40代同士で
話があって楽しくてうまくいっていても、「嫁さんにするなら、ウェディングド
レスが似合う人の方が。で、子どももほしいし」という男の人の言葉を紹介し、
せっかく目の前に気が合う人がいるのにそれを見逃してしまうことについて残念
なことではないか、と筆者は述べます。それは結局、1番目と2番目のステージ
の結婚観にとらわれているから?(ウェディングドレスは別に性欲をあらわすわ
けじゃありませんが‥‥。)40代以降になると、性欲も衰え、子育てもめどが立
ってしまう。そんな時期に、これまで結婚、そして夫婦二人の関係を支えてきた
「性欲」と「子育て」以外のところに「婚」の基盤を求めるとしたら、それは
「愉快」であること、つまり「一緒でいて楽しい」ということこそ「セカンドマ
リッジ」なのではないか、というのが、その主張の根幹です。
 もちろん、ここでは結婚ということ、つまり、ゴールインする・籍を入れるこ
とを目的としている訳ではありません。また、別段離婚して再婚しなさいという
すすめでもありません。あくまでもそれは、自分にとって(そして自分が出会う
人にとって)よりよい関係のあり方を「性欲」と「子育て」にとらわれずに探そ
う、ということだと思います。(だから、「別にファーストマリッジとセカンド
マリッジが連続しててもいいんですよね?」と確認したら、「そうよ」と筆者は
言ってました。)性欲と子育ては、やはり若いうちでないとちょっと、でも、愉
快なら‥‥というふうに、ミドルとシルバーに勇気を与えてくれる主張でもある
かもしれません。あるいは、「愉快」であるのに性別は関係ない、だったら同性
同士でもいいかもしれません。
 でも、「愉快」であるためには、いろいろと準備が必要だろう、ということで、
さまざまな道具立ても用意されています。「結婚についての意識を変えることが
大事」と言われていますが、もちろん意識だけじゃないですね。
 Part IV は「セカンドマリッジのための性愛学」(村瀬幸浩)では、「性欲婚」
の観念と結びついた「挿入・射精中心」のセックス(挿入も射精も男性の行為で
あることから、筆者はこれを男性中心主義のセックス観でもあると言っています)
ではない性のありかたを「愉快婚」にぜひ、と述べられています。もちろん、そ
こには「年老いてセックスなんて」という考え方、つまり若者中心の性愛観を廃
するという意味もあるかもしれませんが、それと同時に、性的な触れ合いの頻度
はそれ以外の場所・時間での触れ合いの頻度と相関関係にあるのではないかとい
う仮定があるからでしょう。
 Part V は、「セカンドマリッジのための法律学」(二宮周平)。「ファース
トマリッジ」と連続していないセカンドマリッジの場合は、前の結婚の婚姻関係
が問題になることがあります。「愉快婚」は生殖と結びつかない分戸籍にとらわ
れる必要もないから、事実婚であることも多いでしょう。あるいは、相続と絡ん
で子どもたちが法的な結婚に反対することも考えられます。そうすると事実婚を
強いられることもあるかもしれません。そんな関係の中で、相手と自分の権利を
確保し、いろいろなスタイルがありうるセカンドマリッジを支えるための法律の
知識を紹介してあります。(姓、相続、税制、扶養義務、国際結婚、etc.)
 ところで、こうした知識だけでは、いくら身につけてもセカンドマリッジはで
きません(^^;)。Part II(板本洋子「自分からはじめるマリッジライフ」)では、
出会いの場をこうして求めようということや、セカンドマリッジに際してのつき
あい上の留意点が説かれます。「愉快婚」はゴールインが目的なのではなく、あ
くまでも「愉快」であることが目的なのだから、法的な結婚や同居にこだわらな
くてもいい、でも、その分むずかしいということでもあるでしょう。難しさをさ
りげなく指摘しながら、「まず自分からはじめよう」、そのためには結婚の対象
になりうる人、つまり独身者だけが出会いの対象ではないよ、というさりげない
ヒントも忍ばせてくれています。(「婚」に人間関係をとじこめる必要もないと
いうことでもあるでしょうか。)
 Part III「セカンドマリッジのための関係学」(深堀習[しげ])では、いろ
いろなセカンドマリッジの実例が取上げられています。

 セカンドマリッジ実践のための本として読んでもいいし、今の関係(恋人でも
夫婦でも友だちでも)を考えなおすために読んでもいいでしょう。大事なのは、
自分にとっての幸せということで。

(1996/01/18)



This page written by TAKAHASHI, June (june.takahashi@nifty.ne.jp)