Myriel

 レスビアンの歴史


【 書  名 】レスビアンの歴史
【 著 者 】リリアン・フェダマン  富岡明美・原美奈子訳
【出 版 社】筑摩書房
【発 行 年】1996年11月25日
【 価 格 】4841円
【  ISBN  】4-480-85733-8
【KeyWords】レスビアン、レズビアン、セクシュアリティ、歴史、アイデンティティ

【 内 容 】(目次)

 序章

 第1章 女どうしの愛――二〇世紀の〈ロマンティックな友情〉
  学のある紡ぎ女(独身婦人)/〈ロマンティックな友情〉の変容/“永遠
 の詩人、永遠の恋人”/〈生涯の伴侶〉とレスビアンの性愛

 第2章 蕾に巣食う虫――初期の性科学者たちと女性愛
  性倒錯と「男っぽい女」または、男装の女性/性的奇形としてのフェミニ
 スト/攻撃にさらされる〈ロマンティックな友情〉/小説による知識の普及
 /「先天的倒錯」理論の思わぬ効用

 第3章 小粋(シック)なレスビアン――実験と抑圧の一九二〇年代
  バイセクシュアルの試みとそのルーツ/白人の「スラム詣で」/ハーレム
 の黒人レスビアン/アメリカ各地の労働者階級レスビアン/レスビアン・ボ
 ヘミアン/性衝動至上主義と、悪役と化したレスビアン

 第4章 荒地にオアシス――一九三〇年代
  子ども・キッチン・教会の三Kと「バイセクシュアル」という妥協/小説
 や芝居に表われたレスビアン/「レスビアン稼業」/一九三〇年代のレズビ
 アンの性愛

 第5章 裸のアマゾネスと変態(レズ)娘たち――第二次世界大戦とその余波
  恋人たちの軍団/「政府後援」のサブカルチャー/レスビアン「異常者」
 全盛期/レスビアン治療は長椅子で

 第6章 口にするのもはばかる愛――マッカーシズムとその遺産
  「あなたはこれまでに、レスビアン関係をもったことがありますか?」/
 冷戦時代の闘い――軍隊における魔女狩り/哀しい遺産

 第7章 ブッチ、フェム、カイカイ
   ――一九五〇〜六〇年代におけるレスビアン・サブカルチャーの創造
  ゲイ・バー文化の創造――若年・労働者階級レスビアン/ブッチ/フェムの
 役割分担――若年労働者階級レスビアン/どっちつかずの「カイカイ」レズ
 ビアン――上流・中産階級

 第8章 ゲイ革命――一九六〇〜七〇年代
  静かなる序章/ゲイ革命――爆発/新しい女性愛のかたち/レスビアン・
 フェミニスト革命/分裂・連帯・不屈の闘争

 第9章 「レスビアン・ネーション」に向けて
   ――一九七〇年代の〈女と一体化した女〉
  レスビアン・フェミニスト文化の青写真/女の音楽・女の新聞/肉体と魂
 ――私たちの大切なもの/「政治的に正しい」こと/分裂と対立

 第10章 レスビアン・セックス論争――一九八〇年代
  レスビアン・セックスと文化派フェミニスト/セックス・アドベンチャー
 を求めて/二極対立は性感を高めるか

 第11章 バベルの塔からコミュニティへ――現在、そして未来
  穏やかな道へ/多様化するレスビアン/連帯/九〇年代に関する覚え書き
 ――〈クィア・ネーション〉?

 終わりに――社会による女性愛の形成とその変貌

 訳者解説

 原註/人名索引/事項索引

【コメント】

 Lillian Faderman, Odd Girl and Twilight Lovers - A history of lesbian
life in twentieth-century America, 1991、の全訳です。19世紀末から今日ま
での、約100年間のアメリカ合衆国のレズビアンの歴史を描いた大著です。
 ある意味では非常にショッキングな本です。たとえば、わたしたちにとって
レズビアン(あるいは男性ゲイ)の存在というのは、最近になってようやく見
えるようになってきたものです。けれど、フェダマンによれば、19世紀から
(あるいはそれ以前から)「女同士の友情」という形で女性間の愛情の交流が
存在したということになっています。エマ・ゴルドマン(アメリカのアナーキ
スト・フェミニスト)などの著名な女性も、同性の非常に親しい友人を持って
いて、そのこと自体はこれまでの伝記や研究で指摘されていましたが、その二
人の間に、今日なら「レズビアン関係」と呼ばれるような関係が存在していて
時には明らかに身体的な性愛の関係も結ばれていたということが述べられてい
ます。
 こうした関係が「同性愛」としてとらえられるようになったのは、性科学が
「同性愛」という名前をつけて「倒錯」のレッテルを貼ったことによってだと
いいます。そうすると、レズビアン・アイデンティティを生み出したのは、実
はレズビアンの排除を行なった動きそのものだということになります。

 ちょっと値段が高くて重くて、内容の密度も濃い本ですけれど、読みごたえ
は十分という本です。

(1996/12/01、1997/02/18 ver.2)



This page written by TAKAHASHI, Ayako.