Myriel

 女たちがつくるアジア


【 書  名 】女たちがつくるアジア
【 著 者 】松井やより
【出 版 社】岩波書店(岩波新書)
【発 行 年】1996年9月20日
【 価 格 】631円+税
【  ISBN  】4-00-430462-8
【KeyWords】アジア 開発 売買春 環境 労働 グローバリゼーション

【 内 容 】(目次)

 序章 アジアの女たちは、いま

 I 経済発展と女性への暴力
  1 人身売買される女性たち
  2 女性を襲うエイズ
  3 国際移住労働の女性化
  4 日比混血児と日本社会
  5 沈黙を破る女たち

 II 「開発」侵略と闘う女たち
  1 フィリピン開発計画――生活の場を追われる住民
  2 タイのユーカリ植林とエビ養殖――農漁村の女たちの抵抗
  3 サラワクの木材伐採とダム建設――森の先住民族の闘い
  4 台湾とタイの観光開発――海外旅行ブームの陰で

 III 抵抗からオルタナティブ実践へ
  1 もうひとつのネグロス――フィリピン
  2 女たちのつながり――香港・中国
  3 村の未来を織る――タイ
  4 山村に変革の風――ネパール
  5 痛みを力に――韓国

 終章 女たちがめざすアジアの世紀

 あとがき
 参考図書
 各テーマに取り組んでいるNGO一覧

【コメント】
 ふくしま女性フォーラム(WFF)では、5月の総会開催に合わせて松井やよ
りさんの講演会を福島市で行いますが、この本は、「受動的に講演を聴くだけじ
ゃだめだよね」という会員の声が集まって行われている、アジアの女性たちの状
況を知るための読書会のテキストです。
 10年以上前に読んだ松井さんの『女たちのアジア』(岩波新書)が書かれた当
時よりも、アジアの女性たちの状況というのは悪くなっていることも多いのでは
ないだろうか――読み終わっての第一印象がこれです。物質的には、東南アジア
の農村にも電化製品が入り込み、モノは普及しているのだけれど、貨幣経済の浸
透からくる相対的な貧困化によって女性、特に少女の身売り(もちろん多くは性
産業へ)が増加しているという事実があります。そして、都市部で日本や韓国な
どからの(男性の)観光客の増加にともなって繁栄する性産業で働く過程で、健
康を害したり、HIVに感染したりする女性たち。
 また、貧困化の中でもっとも大きくしわよせがいくのも女性です。女の子には
十分な食べ物が与えられなかったり、産まれたのが女の子であった場合の嬰児殺
しは、過去のことではなく、こうして現在にも続いているのが現実。
 救いと思えることは、こうした状況の中でも、彼女たちを助け、また農村から
の身売りを防止するためのネットワークなどが徐々に機能し始めているというこ
とでしょうか。

(1997/03/04)



This page written by TAKAHASHI, June (june.takahashi@nifty.ne.jp)