Myriel

 アダルトチルドレンと少女漫画


【 書  名 】アダルトチルドレンと少女漫画
【 著 者 】荷宮和子
【出 版 社】廣済堂出版
【発 行 年】1997年7月15日
【 価 格 】本体1600円+税
【  ISBN  】4-331-50588-X
【KeyWords】メディア アダルトチルドレン 家族 癒し

【 内 容 】

 第一部 現実を見つめて
  第一章 女の子・元女の子にとっての現実
  第二章 母親を取り巻く現実
  第三章 「性別」にかかわる現実
  第四章 「性」にかかわる現実

 第二部 アダルトチルドレンの発見
  第一章 家族という名の苦痛
  第二章 アダルトチルドレンの親子関係
  第三章 アダルトチルドレンの人間関係

 第三部 癒されるために
  第一章 癒されたいなら
  第二章 女と男の理想郷

 ※取り上げられる主な作品(順不同)
 『はみだしっ子』(三原順)
 『ゆれる早春』(池田理代子)
 『ふたりの童話』(岩館真理子)
 『桜の園』『光の庭』(吉田秋生)
 『美少女戦士セーラームーン』(武内直子)
 『夏のおわりのト短調』『夏の夜の獏』『さようなら女達』(大島弓子)
 『赤ちゃんと僕』(羅川真里茂)
 『はれた日は学校を休んで』(西原理恵子)
 『トーマの心臓』『メッシュ』『イグアナの娘』『残酷な神が支配する』『タ
ダとフロルのスペースストリート』(萩尾望都)
 『ホットロード』(紡木たく)
 『君の歌がある』(いくえみ綾)
 『スラムダンク』(井上雄彦)
 『こどものおもちゃ』(小花美穂)
 『エースをねらえ!』(山本鈴美香)
 『朝顔の朝』『紙のお月さま』(陸奥A子)
 『ガラスの仮面』(美内すずえ)

【コメント】
 最近数が増えてきたマンガ評論の一冊。
 「アダルトチルドレン」という概念を、「今の日本の社会に生きている女は、
すべからく『アダルトチルドレン』と称されるべきなのだ。」(「はじめに」、
p.13)と相当大きく拡大解釈している点、また、紙幅の関係かしばしば論証抜き
で、「現代の少女なら‥‥であるはずだ」のような「あなたもわかるでしょ」的
書き方をしている点はいただけない。「アダルトチルドレン」というようなこと
ばをあえて使わずとも、彼女の言いたいことは十分に表現が可能なのではないか
と思える。
 『ホットロード』や『はみだしっ子』といった作品にはかなりのスペースが割
かれ、特に『はみだしっ子』は繰り返し言及され、その魅力が十分に浮き彫りに
されている。また、『セーラームーン』に関しては、「女も戦えという、均等法
以後の世代へのメッセージ」を読みとってしまうなどという読み方ではなく、少
女たちの「隠された欲望」を(知ってか知らずか)表現してしまったところに着
目している点が、興味深い。
 しかし、荷宮のこの本の真骨頂は、そういった「名作」との評価を受けた作品
や、あるいは一般にヒットして誰もが知っている作品について述べている部分で
はないのではないだろうか。むしろ彼女のこの作業では、これまでの「まじめな」
評論でしばしば見落とされてしまったような、「おとめちっく少女マンガ」と呼
ばれるジャンルの作品(あるいは、このジャンル外の作品であってもその中の
「おとめちっく」と呼べる部分)の再評価の部分こそ、注目に値するように思う。

(1997/07/29)


This page written by TAKAHASHI, June (june.takahashi@nifty.ne.jp)