Myriel

 近代フェミニズムの誕生


【 書  名 】近代フェミニズムの誕生
【 著 者 】安達みち代
【出 版 社】世界思想社
【発 行 年】2002年8月20日
【 価 格 】2300円+税
【  ISBN  】4-7907-0948-5
【KeyWords】人権 女子教育 セクシュアリティ 思想

【 内 容 】(目次)

 第一部 生涯
  序章  ふたつの肖像画
  第一章 反逆者の生い立ち
  第二章 たった一人の革命
  第三章 愛、そして死

 第二部 作品
  第一章 合理的女子教育とコンダクトブック
       ――『女子教育考』『実生活からの物語集』『女性読本』
  第二章 人権思想と体制批判 ――『人間の権利の擁護』
  第三章 フェミニズム誕生の背景 ――『女性の権利の擁護』(1)
  第四章 フェミニズムの構図 ――『女性の権利の擁護』(2)
  第五章 文明、自然、エコロジー ――『スカンジナビアからの手紙』
  第六章 社会的自己、感性、セクシュアリティ、母性
       ――『女性の虐待、あるいはマライア』

【コメント】
 メアリ・ウルストンクラフトというと「リベラリズムに基づく近代フェミニズム
理論の開祖」というのが一般的な理解だろう。『女性の権利の擁護』(A Vindica-
tion of the Rights of Woman)が主著だということを知っている人も多い。しか
し、日本では彼女の生涯やその他の著作の内容などは意外に知られていない。本書
はウルストンクラフトの生涯と主要著作に関する概観を行なったもので、ウルスト
ンクラフトについて詳しく知りたいという人のためのかっこうの入門書となってい
る。
 メアリ・ウルストンクラフトは中産階級から没落しかかった家に生まれ、コンパ
ニオン(裕福な老婦人の家に住み込んで話し相手になったり身の回りの世話をした
りする女性)、ガヴァネス(住み込みの家庭教師の女性)などを経験した後、文筆
業で身を立てるようになる。イニシャルのみの匿名で書評を書いたり、翻訳や女性
向け手引き書(コンダクトブック)を出版したりしたが、『女性の権利の擁護』
(1792年)で一躍有名となった。
 彼女の思想は、明らかに当時のヨーロッパをゆるがしていた自由主義思想や啓蒙
思想からの影響を受けているが、単純にロックやルソーの女性版焼き直しであると
いうものではなく、彼女の個人的な経験や主張に基づく再解釈をともなうものであ
ることが述べられている。また、『女性の権利の擁護』ではあまり明確にはされて
いないが、彼女の生涯や小説『女性の虐待』(未完成原稿)の中には、セクシュア
リティをめぐる彼女の強烈で個性的な考えが反映されていることがよくわかる。
 今年初めには、死後200年を記念して編集された『フェミニズムの古典と現代―
甦るウルストンクラフト』(アイリーン・ヨー編、現代思潮新社、原著は1998年)
も日本で翻訳された。ウルストンクラフト・ルネサンス、とまではいかないが、近
代フェミニズムの原点としての彼女の再評価の動きなのであろう。

(02/08/28)


This page written by TAKAHASHI, June (june.takahashi@nifty.ne.jp)