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 ジェンダーで学ぶ社会学


【 書  名 】ジェンダーで学ぶ社会学
【 編 者 】伊藤公雄・牟田和恵
【出 版 社】世界思想社
【発 行 年】1998年3月20日
【 価 格 】本体1800円+税
【  ISBN  】4-7907-0674-5
【KeyWords】ジェンダー、教育、労働、家族、メディア、福祉

【 内 容 】(目次)

 0 ジェンダーの視点から現代社会を読む
 1 生まれる――つくられる「男」と「女」
 2 学ぶ――学校にひそむセクシズム
 3 愛する――恋愛というトリック
 4 行為する――行為とジェンダー
 5 働く――ジェンダーと労働
 6 家族する――マニュアル家族をこえて
 7 演技する――役柄としての〈男〉と〈女〉
 8 悩む――個人の悩みと社会問題
 9 伝える――オルターナティブなメディアへ
 10 遊ぶ――スポーツがつくる「らしさ」
 11 闘う――フェミニズムの思想と運動
 12 越境する――国際社会とジェンダー
 13 老いる――高齢者問題と女性問題
 14 死ぬ――人生のターミナル

【コメント】
 人が生まれてから死ぬまでを14の動詞でまとめた、ジェンダーの社会学の入
門書。
 この動詞によるまとめが本書の特徴のはずなのだが、それにも増して目立って
いるのが、蔦森樹、ヨコタ村上孝之、ヨコタ村上ジュリーらによる「BOX」と題さ
れた7つのコラムである。
 たとえば、フーゴ・デ・ガリスの「マスキュリズム(男性解放論)宣言」は、
女性は家庭にいるべきだと考える古いタイプの男性を「恐竜」、男性に経済的に
依存している女性を「フラッフィ」("fluffie"、軽い、真剣さを欠く、というよ
うな意味)と呼ぶなど、軽妙なネーミングを駆使して、わかりやすくメンズ・リ
ブの主張を表現している。また、伊田広行の「カップル単位からシングル単位へ」
などは、同時期にやはり世界思想社から刊行された彼の単著(『シングル単位の
社会論』)のエッセンスを伝えており、手軽に伊田の発想に「入門」するにはう
ってつけのものである。
 これらコラムを立ち読みするだけでも手に取る価値がある一冊であるが、さす
がにそれだけで本書を断ずると営業妨害になるので、もう少し本体部分について
もコメントしておこう。
 各章はそれぞれ担当者が分かれており、凝縮した記述による充実ぶりと文体や
密度の不統一が相半ばしている。わかりやすくすっきりとまとまっている部分も
あるが、入門書にしては難解な内容も含まれている箇所もあり、必ずしも初学者
だけに向けられたものでもないような印象を受ける。
 筆者は本書を数年間、ある授業のテキストとして使ったことがあるが、使いや
すい章と使いにくい章があった。第2章などは内容も身近で理解しやすいような
のだが、第4章などはどうしても難解さがつきまとい、学生たちは論理をたどる
のにかなり苦しんでいた。(「脳みそを裏返しにされたようで、すごく面白かっ
た」と答案に書いてきた学生もいたが。)
 逆に言えば、それだけ読み応えがあるということでもあるかもしれない。多く
は短大や教養課程の社会学の講義、専門学校(看護師養成学校など)で使われて
いるようだ。内容は充実しているので、使い勝手の点でもう一工夫あれば、便利
な入門書になるだろう。

(2004/03/11)


This page written by TAKAHASHI, June (june.takahashi@nifty.ne.jp)