Myriel

 ルポ「まる子世代」――変化する社会と女性の生き方


【 書  名 】ルポ「まる子世代」――変化する社会と女性の生き方
【 著 者 】阿古真理
【出 版 社】集英社新書
【発 行 年】2004年2月22日
【 価 格 】本体680円+税
【  ISBN  】4-08-720229-1
【KeyWords】労働、家族、世代、均等法

【 内 容 】(目次)
 
 はじめに まる子世代とその背景

 第1章 企業社会の現実
  1 不況下の企業
  2 組織の論理
  3 根強く残る男社会の壁

 第2章 主婦役割を担うまる子世代
  1 夫の会社中心の暮らし
  2 妻たちの孤独

 第3章 親の時代とまる子世代の現実
  1 母親たちの人生
  2 親の生き方が与えた影響
  3 まる子世代が育った家庭

 第4章 現代社会を生きる
  1 社会背景を探る
  2 まる子世代の自分探し

 あとがきに代えて それぞれの選択

【コメント】
 「まる子世代」とは、1964〜69年生まれの女性のこと。Hanako世代と
団塊ジュニア世代にはさまれたこの世代は、目立った特徴を持たない地味な世
代だと筆者は言う。いわば、さくらももこの『ちびまる子ちゃん』の主人公・
まる子のように「ふつう」。だから「まる子世代」、なのだ。
 だが、一見「ふつう」のこの世代は、実は大きな社会変化の中でおとなにな
ってきた。高度成長期後半に生まれたこの世代にとっては、親の世代とは異な
り、生活の便利さ、豊かさは当たり前。1964年生まれは、言わずと知れた均等
法第一世代。かつフリーター第一世代でもある。女性が企業で働くことも当然
になった時代に就職した。さらには育児不安や晩婚化・シングル化の中心でも
ある。
 大学卒の場合は、ちょうど80年代末の雇用拡大期。その後バブルがはじけて
女性の新卒採用は減り、上を見ても下を見ても社内に「味方」が少ないという
事態を経験せざるを得なかった。「女性が元気になった」と言われつつも、就
業継続は厳しいものであり、かつ企業に根強く残る男性中心主義にぶつかるこ
ともしばしば。男性とは立場が違うだけに、そうした社内の問題点にも敏感に
なってしまう。総合職ではありながら、なんとなく「半端もの」という感じを
自分に対して抱くことも多い、という。
 かといって、家庭での生活が充実しているかというと、それもあやしい。確
かに若い層での男性の家事分担率は上がってきたかもしれないが、それも微々
たるもの。相変わらず男性は会社に縛りつけられているし、昔と違って収入も
それほど伸びるわけでもない。我慢しようにも見返りは少ないのだ。特に、以
前は仕事をしていて主婦になった「まる子」たちにとっては、どうしても仕事
を続けていた時にそれなりには感じていた充実感と今の生活とを引き比べてし
まう。「社会に取り残される」という不安も大きい。女性の就業が「腰かけ」
程度だった時代だったら感じなかったようなことかもしれないのだが。
 この世代のいろいろな女性の生き方を見ていく中で感じるのは、転換期を生
きてきた彼女たちにとって、ストレスが非常に大きかったのだということ。そ
んな中での希望は、それでもやはり女性の生き方の多様化は進んできていて、
自分が納得のいく道を模索することが可能になってきたということ。いいこと
ばかりではないが、悪いことばかりでもない。それはいつの時代も言えること
だろうが、取り上げられているのが自分と同じ世代の人たちだけに、友人たち
の生き方とも合わせて、興味深く読んだ一冊である。

(2004/04/09)


This page written by TAKAHASHI, June (june.takahashi@nifty.ne.jp)