2010年06月23日
第9回
第9回、6/23の講義概要です。
○60年代以降のこども向けTV番組
・テレビ受像器の普及、アニメーション、特撮技術の活用と進歩にともない、続々と番組が制作される。
1963〜66年 「鉄腕アトム」:日本で初めてのテレビアニメ
1966年 「ウルトラマン」:特撮ものの嚆矢
1966年 「魔法使いサリー」:初の女の子向けアニメ
○「紅一点」の系譜
・こうした番組(男の子向けのもの)の中にあるジェンダー構造を指摘したもの。(斎藤美奈子による。)
「正義の味方」のチームに女性が一人しかいないこと、その女性の役割が非常に限定されたものであること、等。(出典は、王安石の詩の一節、「萬緑叢中紅一点」。)
・ひいてはこれが、日本の社会におけるジェンダー構造を反映していると指摘。
=「世界は『たくさんの男性と少しの女性』でできている。」
○事例
(1)「ウルトラマン」・科学特捜隊
・隊員の構成
ムラマツキャップ(リーダー)
ハヤタ隊員(エース)
イデ隊員(知将)
アラシ隊員(勇将)
フジアキコ隊員(女性)
・フジアキコ隊員の役回り
電話番
お茶くみ担当(ドジっ子属性つき)
(2)「ウルトラセブン」・ウルトラ警備隊
・隊員の構成
キリヤマ隊長(リーダー)
モロボシ・ダン隊員(エース)
フルハシ・シゲル隊員(勇将)
ソガ隊員(銃の名手、ライバル?)
アマギ隊員(やや影が薄い、知将?)
友里アンヌ隊員(女性)
・「アンヌ隊員」の特徴
「親の七光り」(友里源三郎博士の孫娘)
普段はメディカル勤務。隊員たちの健康管理を担当。
決して姓で呼ばれない。(視聴者からも「アンヌ」。)
モロボシ・ダンの恋人役。男性視聴者にも人気高し。
(3)「科学忍者隊ガッチャマン」
・隊員の構成
大鷲の健(エース)
コンドルのジョー(ライバル)
白鳥のジュン(女性)
みみずくの竜(武将)
燕(つばくろ)の甚平(知将)
※南部博士(サイエンティスト、リーダー)
・白鳥のジュンの役回り
お色気担当(戦闘シーンでのパンチラ、変身シーンでの全裸)ではあるが、戦闘にも積極的に参加。
○「紅一点」の特徴とその影響
・「紅の戦士」たちの特徴
仕事は通信・看護、さらに「お茶くみ」
16〜20歳前後、エースの恋人役
お色気担当・職場の花
戦闘に積極的に参加する側面も。
数が少ないのでトモダチ(同僚)がいない。(孤立している)
註1:アメリカでは「紅二点」の伝統あり
註2:女性キャラが複数登場する「機動戦士ガンダム」はジェンダー平等的か?
・“OL”としての「紅の戦士」。
一般職タイプ:職域は限定
総合職タイプ:「仕事」はする、だけど性的魅力で評価される。
・小さい頃から今の40〜30代男性のかなりの部分は、こうした世界観になじんで成長した。
○斎藤説の検討
・斎藤美奈子の議論はどこまでを射程に収めたものか。
落ちている作品、当てはまらない作品は? 時代的にはいつまで?
ex. 1972〜73年放映の「ウルトラマンA」は、当初TACに女性2人、男性と女性の合体で変身。中性的なイメージという制作サイドの意図。
○1990年代における「紅一点」構造の変質
・象徴的な作品は「美少女戦士セーラームーン」(1992〜97年)
「紅一点」構造の転倒→「緑一点」へ
女の子向けアニメに戦隊ものの原理を導入、「女の子の国」の基本構造は変わらず。(ハイブリッドな構成)
・「男の子の国」でも
「新世紀エヴァンゲリオン」(1995〜96年)が初期の代表作。
○21世紀のジェンダー表象構造は?
・90年代以降、新しい構造が出現している。
「戦闘美少女」(斎藤環)と「データベース化」(東浩紀)
ジャンル(SFとファンタジー)と世界原理の「ひかえめな」混交
投稿者 june : 2010年06月23日 22:41