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2005年04月21日

風俗嬢意識調査(要友紀子・水島希)

【 書 名 】風俗嬢意識調査――126人の職業意識
【 著 者 】要友紀子・水島希
【出 版 社】ポット出版
【発 行 年】2005年4月5日
【 価 格 】2300円+税
【 ISBN 】4-939015-76-9
【KeyWords】セックスワーク 売買春 社会調査

【 内 容 】(目次)

 はじめに
 お読みになる前に

 第1章 風俗嬢意識調査報告
 第2章 風俗嬢座談会+再現インタビュー
 第3章 『風俗嬢意識調査』を読む
  橋爪大三郎/瀬地山角/南智子/小倉千加子/宮台真司

 資料
  アンケート用紙/全回答/風俗の分類と内容/風俗用語辞典

 あとがき・謝辞

【コメント】

 セックスワークの非犯罪化について、長年地道に取り組んでいる要友紀子らの調査報告書。いわゆる「非本番系」風俗の女性たち126人の調査をまとめたもの。
 セックスワークの是非をめぐっては議論の余地があることには間違いないが、第3章で瀬地山角が指摘しているように、そうした議論とは別の次元で現にセックスワークは行われ続けており、さまざまな現実が存在することも事実である。この調査はまずその現実へ切り込むことで、既存の議論の土台をゆるがそうというものである。
 本書の冒頭部分から、一節を引いておく。(pp.8-9)

 売買春について交わされる議論の多くについて、私は、「一体、どういう経験や見聞から、風俗のことをどう理解してそのような考え方に至ったのか」というところが疑わしくてしょうがありませんでした。
(中略)
 もし、従来のような売買春論議が、セックスワーカーの現実や思いと全く無関係に、「自分の理想(幻想)のユートピア」を目指して語られているのだとしたら、これほど愚かなことはないと思います。
(中略)
 この風俗嬢意識調査結果が世に出たとたん、従来のような売買春論議の性質が一変するというような事態を想定しているわけではありません。ただ、「風俗嬢っていうのは概して……」とか、「風俗の仕事というのはこういうものだから……」といった、今まで信じられていた風俗にまつわる物語は、もう自信を持っては語られなくなるでしょう。

 東京および横浜での調査ということで、その他の大都市圏、あるいは地方都市だとまた違った結果が出るかも知れないが、これはもう調査を積み重ねていくしかない。
 分析では、大学生のアルバイト観との比較が興味深い。特に53〜55ページあたりの、他の労働に従事している人たちが、「売春よりはマシ」というかたちで労働のタイプを階層化していくことで、自分たちが従事している労働の条件の悪さなどを、「まだ下がある」というふうに資本に好都合に解釈してしまう可能性が生じる、という指摘などは重要であろう。
 ただ、学生にとってはあくまでもアルバイトは「アルバイト」であることが多いだろうから、風俗で生計を立てているような人たちを含むデータとの丸ごとの比較はどうだっただろうか。この点はもう少し慎重に評価したい。

 いずれにしても、やっと日の目を見たデータである(調査期間は1999年〜2000年)。広い反響があることを期待している。
 ところで、気になったことが一つ。この本にはしおりひもが2本ついている。紫とピンク。なぜ??

■関連URL

-http://homepage2.nifty.com/swash/index.html

 SWASH(Sex Work And Sexual Health)のWebページ。

-http://www.pot.co.jp/yukkochan/index.html

 要の調査日誌。メインのページは、最近更新されてない?

投稿者 june : 2005年04月21日 12:54