1998年11月10日

マンズ・ワールド(エリス・コーズ)

【 書 名 】マンズ・ワールド (A Man's World)
【 著 者 】エリス・コーズ (Ellis Cose)
【 訳 者 】近藤和子
【出 版 社】日本経済評論社
【発 行 年】1998年10月30日
【 価 格 】本体2500円
【 ISBN 】4-8188-0962-4
【KeyWords】多様性 人種 フェミニズム 男性運動 暴力

【 内 容 】(目次)

 謝辞
 はじめに 高まる不満
 第1章  犠牲者としての男
 第2章  黒人で、傷つき、悪しざまに言われて
 第3章  男性運動が何だろうと
 第4章  軟弱な男の出現と消滅
 第5章  本当にミスター・ママを望むのか
 第6章  求愛と意志疎通と困惑
 第7章  男はそれがわからない
 第8章  誰が父さんになるの
 第9章  女のほうが苦しむのなら、なぜ男は自滅するのか?
 第10章  殴られる男、苦い真実
 第11章  ジェンダーの和解へ
 訳者あとがき
 解説  つくられたオトコとしての自分を作り直す  星建男 

【コメント】

 たくさんの調査、統計、インタビューから、ジェンダーや男女関係についての現代のアメリカ男性たちの不満と戸惑いを描いた本である。著者はNewsWeek誌のcontributing editor。
 概ねジャーナリストとして、一歩引いたところで、男性たちの声を拾い、評価しているようだ。気になったのは、NFI(National Fatherfood Initiative)やPK(Promise Keepers) の扱い。一般にはさまざまな批判があるが、この本では、ごく真っ当に聞こえる意見が紹介されている。これは、書かれた時期(原著は1995年発行)にもよるのだろうか。
 また「男性運動」について書いているところでは、その象徴はRobert Blyであり、 mythopoetic派以外の存在は意識されていないかのようだ。森で太鼓をたたく集まりには、ほとんど冷笑しか与えられない。男の生き方や状況を変える運動は「必要だと思う」が、あれではついていけない、というわけだ。
 よくも悪くも男の立場について言い訳がましいところがあるので、フェミニズムを批判したい向きのボキャブラリを増やすことになるかもしれない。
 個人的には、1990年以降のアメリカの男性の男性問題への意識状況が知れて、興味深かった。ディテールがたくさんあるのはいいのだが、ケースがだらだらとまとまりなく書かれているようで、ポイントがつかみにくい。それでも殴られる男を描いた部分などはけっこう印象的である。
 訳はわかりにくくはないが、感覚的なところで、ひっかかった部分が幾分かあった。巻末の解説は、星さんによるもので、日本とアメリカでは状況が違うとして、「男=加害者」論の位置づけを主張している。
 
(written by yeswhome)

投稿者 june : 22:07