福島大学における学生へのセクシュアル・ハラスメントに関する指針

1998年3月10日学生委員会承認
1998年6月 9日評議会承認
1998年6月10日各学部教授会承認


 福島大学は、学生の人権を侵害し、適切な教育環境の形成を阻害するものとして、大学における学生へのセクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)に対して厳しい姿勢で臨むことをここに明らかにし、以下の指針を定めます。

一 定義

  1.  「大学における学生へのセクシュアル・ハラスメント」とは、就学上の関係を利用して学生に対して行われる、次にあげる行為のことを意味します。

    1.  性的要求への服従または拒否を理由として、就学上の利益または不利益を与えること。

    2.  就学上の利益または不利益を条件として、性的誘いかけを行ったり性的に好意的な態度をとるように要求すること。

    3.  性的な言動、図画・文書の掲示・提示等により、就学上不快の念を抱かせるような環境を醸成すること、また、学生の人格や個人としての尊厳を傷つけること。

  2.  「学生」とは、学部学生、大学院学生、学部・大学院の外国人留学生のほか、研究生、科目等履修生など、福島大学で教育を受けるあらゆる形態をさすものとします。

  3.  常勤・非常勤を問わず福島大学に在職する教職員と福島大学の学生との間、および福島大学の学生同士の間には、「就学上の関係」が常に存在するものと見なします。これは、正課の時間中の大学構内にとどまるものではなく、課外活動や学外を含む、あらゆる場合に適用されます。

二 訴えへの対応

  1.  福島大学は、大学における学生へのセクシュアル・ハラスメントに対応するために、学生部に相談室を設けます。

  2.  相談室の設置場所、受付時間、人員配置等については、別途これを定めるものとします。

  3.  学生からの訴えが相談室等に寄せられた場合には、可及的速やかに実態を明らかにしなければならないものとします。この場合、被害を訴えた学生が所属する学部の学生委員会または学生生活委員会が被害を訴えた学生からの事情を聴取し、原則として協議機関に報告を行なうものとします。

  4.  協議機関については別途これを定めるものとします。

  5.  協議機関は、被害を訴えた学生および被害を与えたとされる者双方からの情報を収集し、セクシュアル・ハラスメントであるか否かの判断を行ないます。セクシュアル・ハラスメントと判断した場合は、速やかに関係学部の教授会または関係部局に報告する義務を負います。

  6.  協議機関は、関係学部長または関係部局長の求めに応じて、関係学部の教授会または関係部局長が対処を決定するに際しての情報を提供し、必要なアドバイスを行なうことができます。

  7.  協議機関は、被害を訴えた学生に対し、その問い合わせに応じて情報を提供し、また結論が出た場合は速やかに報告する義務を負います。

  8.  上記のようなセクシュアル・ハラスメントの訴えへの対応に際しては、各機関は関係者のプライバシーを最大限尊重する義務を負います。

三 周知の義務・未然防止・被害者へのカウンセリング等

  1.  福島大学は、上記の二に示すようなセクシュアル・ハラスメントの訴えへの対応策について、学生および教職員に対してその存在を周知するための手段を講じます。

  2.  福島大学は、大学における学生へのセクシュアル・ハラスメントの発生を未然に防止するために必要な啓発・指導を、あらゆる機会を通じて、学生および教職員に対して行うものとします。

  3.  福島大学は、必要に応じて、セクシュアル・ハラスメントの被害者の受けた精神的被害に対するカウンセリング等を行なう義務を負います。

四 種々の責任

  1.  セクシュアル・ハラスメントのない教育環境を形成し維持する責任は、福島大学長がこれを負うものとします。

  2.  相談室を適切に設置・運営する責任、およびセクシュアル・ハラスメントの訴えの対処を適切かつ迅速に行なう責任は、学生部長がこれを負うものとします。

  3.  セクシュアル・ハラスメントの訴えに対し、必要な対処を決定し実施する責任は、関係学部の教授会が負うものとします。ただし、職員にかかわる場合は、関係部局長が責任を負うものとします。

  4.  その他、セクシュアル・ハラスメントの発生を未然に防止し、これを根絶し、被害が生じないようにする責任は、福島大学の全構成員が等しく負うものとします。

五 セクシュアル・ハラスメントについての理解を深めるために

  1.  これまで述べてきたようなセクシュアル・ハラスメントは、一般に、「教員‐学生」「先輩‐後輩」といったような、大学における上下関係が基盤となって生じます。たとえば、次のような行為はセクシュアル・ハラスメントになることがあります。

    1.  単位認定または指導上の利益や不利益と引き換えに、身体への接触や性行為その他の性的な働きかけをしたり、性的な要求に応えるように明示的・暗示的に求める。たとえば、試験の成績が悪く再試験を受けた科目で、再試験の後教員が「二人で旅行に行こう」と学生を誘う、など。

    2.  相手の学業や課外活動の継続を妨げたり、その意欲を失わせる結果をもたらすにいたるまでに、相手への性的な関心を表明したり、望まない身体的接触をくりかえす。たとえば、指導中にたびたび学生の胸・腰などに手を触れることで、教員ないしはその他の指導者(学生・大学院学生を含む)が、その学生のやる気を失わせる、など。

    3.  研究上・教育上あるいはその他の活動上不必要と受け取られる形で、性的な発言をしたり、性的な文書・写真などの提示や掲示を行う。たとえば、教員が「教育の一環である」として、それを望まない学生にヌード写真集を見せる、など。

    4.  他人の性生活や交際について、文書、電子メールなどのさまざまな形態を含めて風評を流したり、相手が嫌がっているのに質問をする。たとえば、演習の親睦のためのコンパの席で一人一人があいさつをするとき、交際している相手がいるかなどについて、本人が答えたくないにもかかわらず質問をする、など。

  2.  セクシュアル・ハラスメントには、次のような特徴があります。

    1.  意図的に行われても、意図せずに行われても、結果として同じ影響を与える場合があります。したがって、やっている本人がセクシュアル・ハラスメントだと思っていなくても、受け取る側が「嫌がらせだ」と感じたらセクシュアル・ハラスメントになります。

    2.  ある人にとってはセクシュアル・ハラスメントと感じられない行為でも、別の人にはきわめて強いセクシュアル・ハラスメントと感じられる場合があります。社会的、文化的な背景が異なる場合には、同じ行為でも違ったものとして受け取られることがあります。たとえば、日本人学生と外国人留学生では文化的背景が異なりますし、信仰している宗教によっても大きく受止め方は変わります。

    3.  セクシュアル・ハラスメントにあたる行為は、多くの場合、他に誰もいないところで行われたり、同じ場所にいる他人の目に触れないような形で行われることもありますが、同じ場所にいる全ての人を巻き込む形で行われることもあります。

  3.  もし学生のみなさんが被害を受けてしまったときは、次のようなことに留意して下さい。

    1.  いつ、どこで、誰から、どのようなことをされたのかについての記録(メモ)を取る。これは、あとで相談室等へ訴えを起こす場合などに役に立ちます。

    2.  証人を作っておく。あなたが被害を受けたときにその場面を目撃していた人がたまたまいたら、その人に今あなたが何をされていたかについて確認をしておくことが大事です。

    3.  相手に対して、「自分は望んでいない、不快である」ことをはっきり伝える。行為を行なっている本人は、あなたが望んでいないと気がついていない場合があります。もちろん、被害を受けているあなたに落ち度はないのですし、たいてい相手は目上の人間で言いにくいでしょうが、自分がこれ以上不快な思いをしないためには重要なことです。

    4.  相談室に行って相談する。単に被害を訴えるためだけでなく、たとえば相手にきちんと「自分は不快なのだ」ということを伝えるための勇気やきっかけも得られるかもしれません。いろいろな意味で自分の気持ちも整理されるかもしれません。
       直接相談室へ行きにくい場合もあるでしょう。そうしたときは、親しくしている友人などを通して話をしたり、一緒に行ってもらいましょう。または、ゼミの指導教官や助言教官、サークルの顧問教官などを通じて、各学部の学生委員や学生生活委員に相談して下さい。

  4.  セクシュアル・ハラスメントは、概して現実には、男性を加害者、女性を被害者として、異性間で生じることが多いものですが、本指針においては、必ずしもこれらのことを前提としていません。
     しかし、多くの場合、セクシュアル・ハラスメントは性差別や性規範の二重基準(ダブル・スタンダード)※を基盤として生じるものであり、福島大学の全構成員は、セクシュアル・ハラスメント発生の防止のためにも、これらの問題に自覚的に取り組んでいくことが求められます。

    ※註:性規範の二重基準
     性行動を解釈する基準が女性についてと男性についてとで異なること。
     セクシュアル・ハラスメントをめぐっては、次のようなことが考えられます。例えば、本指針の「一 定義」でセクシュアル・ハラスメントとされるような状況で、男性から女性に対して、女性が望んでいない性関係を強要し、その後訴えられ裁判になったとします。このとき、男性が「女性が挑発したから」とか「抵抗しなかったから望んでいると思った」などと言い立てることによって、自分を正当化しようとすることがあります。ここで働いているのは、「女性は男性を挑発できるが、男性は女性を挑発できない」「男性の性行為への意思は性行為を彼が行ったことによって明らかであるが、女性の性行為への意思は彼の性行為に抵抗しなかったということで明らかとなる」といった二重基準です。しかしこれは明らかに間違った申し立てであり、現在裁判の判決でも認めない方向に進みつつあります。
※このページは、福島大学の公式ページではありません。
※※一部表記が原文と異なります。


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This page written by Takahashi, June (a082@mail.ipc.fukushima-u.ac.jp)