活動紹介

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ふくしま女性フォーラム
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福島大学 行政政策学類
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■地方分権と私たちの暮らし


 講師 長門昭夫氏(福島県総務部人事課:課長補佐)
 福島市市民会館

学習会レポート

1 なぜ、今地方分権が必要か

 明治維新以降の中央集権システムは、富国強兵、殖産興業などひとつの目標を追いかけるのには効率的なシステムであった。
 今、個性が尊重され価値観の多様な時代になってきて、地域や住民を大事にしながら、暮らしをつくって行こうとする時、中央官庁からのコントロールや縛りがその動きを妨げることが多くなっている。
 住民が選んだ首長(知事、市町村長)は、国の一つの機関として位置づけられ、指揮監督を受けている。また、予算や税制上も国と地方は2:1で国税が多く、補助金の使途にもさまざまな規制が伴っている。
 しかし、行政のベースは住民である。権限と財源を地方に移し、自らのの決定権を拡大し、個性的な地域社会を作る仕組みに変えていく必要がある。

2 地方分権はどのように進められているか

 1993年6月 衆参両議院において「地方分権の推進に関する決議」を採択
 1995年5月 「地方分権推進法」成立。(2000年までの5年間の時限立法)
    7月 「地方分権推進委員会」発足。

※「地方分権推進委員会」の役割 (1) 地方分権推進計画の作成のための具体的な指針を内閣総理大臣に勧告する。 (2) 地方分権推進計画に基づく施策の実施状況を監視し、その結果に基づき内閣総理大臣に意見を述べる。

 1996年3月 地方分権推進委員会「中間報告」を内閣総理大臣に提出。
    4月 中核市の12市が誕生。
    12月 地方分権推進委員会第1次勧告。
 1997年4月 郡山市など5市が中核市に移行。
    7月 地方分権推進委員会第2次勧告。
    9月 地方分権推進委員会第3次勧告。
    10月 地方推進委員会第4次報告。

3 福島県の地方分権の取り組み

 1993年8月 地方分権に関する研究会(知事と若手職員9名)が発足。
 1994年3月 報告書を作成(「地方分権・うつくしま、ふくしま。宣言」の原案)。
    7月 第24次地方制度調査専門委員会地方懇談会・福島市で開催。

◎ 知事が福島地方分権推進ビジョン
 「地方分権・うつくしま、ふくしま。宣言」を発表。
 「住民を基本とした"新市町村主義"(住民に一番近い市町村が中心となって仕事をしていこうとするもの)」への出発(たびたち)と「新たなパートナーシップの構築(市町村・県・国の役割を明確にした対等協力関係の構築)」を提唱した。

 1995年10月 地方分権の推進に対応した行財政システムの確立などを基本的視点
       とした「新福島行財政改革大綱」を策定。
 1996年5月 県職員と市町村職員による「地方分権(新たなパートナーシップの
       構築)調査研究会」設置。
    8月 住民意識を高める取り組みとして懸賞論文の募集。インターネット
       に地方分権のページを開設。
    11月〜「地方分権・うつくしま、ふくしま。フォーラム」を郡山市、12月
       会津方部、1998年1月相双方部で開催。

4 地方分権により生活がどう変わるか

 少子高齢者社会においては、より生活に密着し、住民に近いところで権限を持って判断し対処する必要がある。それがきめ細かいサービスにつながって行く。
 まちづくりのための都市計画についても画一的なものでなく、地域の状況を踏まえた形で個性的なものが出来る。
 首長を中心に総合的な判断で幼稚園と保育所の共用化や弾力的な運営ができるようになれば、延長保育などより住民のニーズに応えた行政が可能になる。
 空教室利用も権限が委譲されることによりより柔軟な対応ができ、地域のためになる施策が出来るようになる。

5 地方分権は住民一人ひとりの意識から

 権限と財源を伴うことにより、首長・議会・職員・住民の責任も重大となり、受け皿作りや資質の向上が望まれる。
 自分の故郷を個性豊かな魅力的な地域とし、みんなの知恵や工夫を出し合い、住民本位の行政の体制で一人ひとりが努力しなければならない。住民の意識改革も求められてくる。



質疑応答・意見

Q 自治体の政策立案能力が心配。
 地方分権の実施と公的介護保険のスタートが同時であり、前例のない新しい事業にたずさわることになる。特に市長村職員のレベルアップを考慮した研修を充実してほしい。
A 地方分権は競争の時代といえる。財産があっても、サービスが伴わないことも考えられる。行政主体や職員の能力に関わることであり、研修は、県と市町村が合同で実施しており、政策能力・やる気と能力形成など、研修と人事を含めて考えている。

Q 自治体によって、財政力に格差がある。
地方税等の財源の確保など財政的な基盤整備をどうするか。地方分権のメリットだけが先行しているが、デメリット部分、財源の分配などについても情報公開が必要ではないのか。
A 過疎地域は、財政的に苦しいため、行政体制の整備が必要であり、課税客体の少ないところに対しては、現行の地方交付税のようなシステムが残るだろう。第2次勧告の市町村合併について、県は自主的合併を考えている。過疎地域の自主性や特色を生かし、地域の判断をたいせつにするとともにバランスも考えたい。

Q 地方分権が進めば、住民一人ひとりに責任が生じる。女性は地域に密着した生活者として様々な情報を持っているが、住民の声を吸い上げるシステムの強化、県民にダイレクトに向かい合うシステムづくりをする準備はどうか。庁内での短期の職員移動で十分な住民サービスが出来るのか。
A 広報公聴制度がある。施策を展開する上で、住民の意見意向をより反映する必要がある。住民の代表で構成される議会、直接な住民との懇談会などで意見を聞き、県民のための行政を考えている。情報公開制度の請求も当初の20倍位になっている。
 県の人事については、職員個人は平均4年で異動するが、仕事は組織として進めるので問題はないと思っている。

Q 少子化に伴い、いままでのような「少ない子どもをすこやかに育てるにはどうしたらよいか」だけでは追いつかない。少子化問題を県政のあらゆる面で考察し、高齢化施策とともに県政の戦略的柱として、地方分権の取り組みのなかにも加えてほしい。
A 少子高齢化対策は、より住民に近いところで行う必要があり、保育所など子供を産み育てる環境づくりについて、きめの細かな施策が必要である。

Q 国民白書で、初めて「働く女性」というキーワードがでできた。女性が社会に出て働くために、いろいろな問題点もあると思っている。自治体の政策立案にどれだけ女性が参画しているか。男性も女性も共に柔軟な発想ができる人材を養成し、女性の登用をしてほしい。
A 女性の登用については、以前より意識されている。女性のいない課などもなくなった。意思決定の場についても、県は努力している。

Q 地方公共団体自身の自己改革を具体的に伺いたい。
A 借金が予算(約9000億円)とほぼ同じで、県は苦しい財政状況にある。事務事業の見直し、人づくり、職員の意識改革などを検討している。女性の登用も3割を目指している。

Q 河川事業のようなものは、分権でなく、一体としての事業の方が良いのではないか。
A 河川事業には、機関委任、国直轄、市町村単独で実施というものがある。機関委任事務制度の廃止により、事務そのものは整理されたが、広域で事業を進めた方が良い場合もある。

意見(男性参加者)

 女性は、同じ問題でも違った角度から新たな発想をしてくれる。地方分権には以前から深い関心を持っているが、大変なテーマであると思っている。基本的には住民一人ひとりの中に分権意識がどう植え付くかということに尽きると思う。
 戦後50年の仕組みのなかで、われわれ自身の意識がたてわりとなってはいないだろうか。例えば、農協のJA祭りを、空洞化といわれる街中に持ち込んだらどうか。商は商という固定観念や先入観を打破する発想をして、たて割り的な考え方を自分たちの頭の中から砕いていく。それで初めて行政の壁や人間の壁も低くなるのではないか。
 中央集権は、道路、橋、鉄道、空港など、大きな事業にはよいが、日常生活のあらゆる面でのサービスを考えると、いまのシステムは問題が多いと考えている。

まとめ

●司会・二瓶由美子
 今日は、地方自治の課題のうち国と地方の関係について、現行のシステムの機能・財政・相互の関係など、基本的な部分をつくりかえていくことが、地方分権の推進であるというお話を伺った。
 地方分権の担い手は誰か、また担えるのか。地方公共団体自身の自己改革がどのように進んでいるのか。市町村の再編、地方公共団体間の連携をどう考えていくか。活発な議論も出た。

●講師
 つまるところ、住民のための行政である。ハードよりソフト面が重要になってくると地方や住民の判断がより大切になる。地方分権が女性に理解されるということは、パートナーや家族へのアプローチになると思う。行政に対しても応援をしていただきたい。

●辻代表代行
 本会のNGO的集会に、今後も「県庁」が出て来てざっくばらんに意見交換ができるような状況設定をしてほしい。
 訴えや陳情はするがあとは行政任せという時代は終わり、私たちもワーキンググループとして実際の仕事や作業をするくらいの心づもりがあるので、交流や活用を図ってほしい。

(報告・佐藤徳 福島市)

参加者の感想

地域社会を良くしていくのは
 私は、地方分権についてあまり知識がなかったのですが、県庁の方の説明や皆さんの意見、質問から、いままで縁遠かった行政が身近になってくるような印象を受けました。反面、地域間の差が生じてきそうな不安(たとえば教育面など)も覚えました。
 地域社会を良くするも悪くするも住民のそして行政の意識改革にかかわっているような気がします。
 それにしても学習会の参加者が少ないなあ。
(大石美智子 福島市)

学習会に参加して
 地方分権をテーマとしたフォーラム(学習会)は大変有意義でした。講演につづく質疑の時間が十分あり、講師の先生には大変だと思いましたが、私にとっては理解を深める場となりました。
 女子駅伝や、女性剣士も活躍しております。スポーツをはじめ女性の社会参加がますます重要な時代となってきているとき、ふくしま女性フォーラムの発展を祈念いたします。
(山岸清 福島市/非会員)

 

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