活動紹介

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ふくしま女性フォーラム
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福島大学 行政政策学類
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■男女の働き方を見直そう


98年度第2回目の学習会「男女の働き方を見直そう 〜1999年4月雇用機会均等法改正にちなんで〜」、講師はかながわ女性センター専門職員の堀口悦子さん。参加者は会津地区の皆さんのご尽力で50名を超えました。 (1998年9月12日、会津若松・ホテルニューパレス)

学習会レポート

はじめに
 「男女雇用機会均等法」は1986年に施行されましたが、強制力を持たないもので、いわゆる片面規定でした。制定当時、数年後に見直しするということになっていたのですが、その見直しまでに10年以上を要しました。今回の改正も全面改正ではなく、一部改正であることを念頭に置いてください。

どこが改正され、具体的にどう変わるのか
 項目別に見ていきましょう。
 字句でいえば、女子労働者を女性労働者、女子保護規定を女性保護規定というふうに表現が変わります。「女子=おんなこども」ではなく、「女性」という「男性」と同等の表現になります。
 母性(ということばにも問題はありますが)健康管理、ここでは妊娠・出産に関わる健康管理が、努力義務から義務になります。環境問題から見ても、女性の身体に影響があるということは、男性にとっても問題であり、人類全体にとっても問題なのです。
 募集、採用、配置、昇進および教育訓練についての差別は、努力義務から禁止事項になります。労働者派遣法では専門技術がないと働けないことになっているのに、人材派遣会社は1〜2ヶ月の講習で派遣社員とする例もあります。また、採用といっても派遣会社に登録されるだけの場合もあります。女性を排除することがないように、事業主は改善例を参考に適切に対処してほしいところです。
 雇用者と女性労働者の調停については、相手の同意が必要だったので、調停を申し出ても企業側が拒否して不成立ということが大部分でした。今回の改正では、申し出を拒否することができなくなっています。日本の裁判は莫大なお金と時間がかかるので、調停で解決していくことが増えていくのではないでしょうか。これもどのように効果を上げていくかを見ていく必要があります。
 ポジティブ・アクション(積極的差別是正措置)とは、どちらかの性を4割以上にする措置をいいます。差別されている側を引き上げるのではなく、同じ条件の能力のある男女の場合は、女性を優先的に採用するということです。せめて公務員くらいはこの方法を取り入れて欲しいものですが、強制力はありません。日本の場合には、女性がチャレンジする機会さえ与えられないのが現状です。
 セクシュアル・ハラスメントは法律用語ではありません。法律的には民法で不法行為(人が嫌がることをすること)としてくくられます。事業主はセクシュアル・ハラスメントが起こらないような配慮をしなさいという配慮義務だけです。
 多胎妊娠の場合は休業期間が10週間から14週間になりました。
 女性の時間外・深夜業の規制がなくなります。日本はILO(国際労働機関)の夜業条約を批准していないので、女性も労働強化を強いられるわけです。残業の割増賃金が非常に少ない現状において規定がなくなると、女性労働者の賃金がますます低く抑えられてしまうのではないかと懸念されます。コンビニお弁当つくりなどは深夜業で、女性のパートタイム労働者が多いのですが、規制があったので多少賃金に色づけがありました。深夜業の女性の待遇があがることなしに規制がなくなることは問題です。
 男性労働者の労働条件を解決することのない状況では、男女の双方の労働条件を良くすることにはなっていかないのではないでしょうか。

裁量労働制について。
 労働者が自分で労働時間を決めて(裁量をして)仕事をするので、裁量労働制は能力のある人にとってはとてもいいといわれます。しかし、企業側が労働時間を把握しなくていいということは、労働時間を自己管理することになります。これまで過労死などの裁判では、タイムレコーダーなどが証拠として認められていたのですが、それもないということになります。
 過労死に至る前に精神的に追いつめられてしまう過労自殺も出るなど、労働状況が厳しくなっている中での裁量労働制は、改悪につながると言えます。

男女の働き方を見直そう
 過労死や過労自殺をしてからでは遅いのです。企業の中で働いている女性は、不況やリストラなど厳しい状況に身を置いています。専業主婦も夫の働き方に関心を持って欲しいものです。自己責任の時代ですから、自分の夫はどういう働き方をしているかを記録に残すとか、注意しておくとかが大切です。
 男女共通の労働時間規制が必要ではないでしょうか。週40時間労働というのが目安として出ているのですが、労働時間を守るか、目安時間をもっと少なくする必要があると思います。多様な変形労働時間としてさまざまな働き方が認められるようになって、看護婦・看護士などは三交代から二交代となりました。女性が多いといわれている職場も厳しい変形労働時間が取り入れられてきて、女性が家族を持って働き続けることが難しくなってきています。

支払われない労働
 支払われない労働(アンペイドワーク)も労働です。これは家事労働だけではありません。労働法適用が除外されている農業労働は非常に厳しいものです。
 女性がこうしたアンペイドワークの主要な担い手になっているのは、世界に共通の問題です。日本では、一つの仕事をしているということを基準に、生活時間調査が行われていますが、実際に調査研究をする人や方針を決める人が実情を知らなさすぎ、男女が家族責任を持って家事労働をする必要性がわかっていません。

 日本はこのアンペイドワークをどのように評価して考えていくかの途上にあります。
 労働についての男女の意識、社会システムなど課題はたくさんありますが、21世紀のビジョンを持った労働法制を改めて作り直していく必要があると思います。専業主婦、兼業主婦、そしてフルタイム労働の女性も対立し合わないように考えていきたいと思います。


質疑応答と意見交換

Q 男女共通の労働時間規制はこれから必要になっていく。能率とか効率という社会の価値観を転換していく上で、労働時間や性別役割分担の見直しや家族のあり方を考えていかなくてはならない。松井やより氏は「これからのキーワードはケアリングだ」といったが、高齢者の介護や障害者の介助を、男女が同じく担っていくことであるということでつながったと思った。

A  社会の価値観の転換は非常に難しい。今までとは違った価値観を身につけるには、家庭と教育が大切。子どもは大人を見ている。
 父親はお金を稼ぐだけでいいのか。家庭を持った意味を問いなおしてほしい。

Q  中小企業はギリギリの従業員でやっている。女性一人に出産休暇などを与え、代替要員を雇う力はない。県内の企業の90%が中小企業であり、女性に対する差別が禁止規定となってもその根は深いので、現状のまま当分続いていくと思う。
◇意見:労働省は労働者を保護する。通産省は企業を育成していく。事業主は法律違反をしても企業を立て直していかなければならない。国が政策的に支援や優遇制度を設けるなど、両者の共栄を図るべきではないか。


A 労働法の適用は、最初は基盤の安定した大企業などで試みられる。特殊な職種(記者など)では、代替要員がなかなか見つからないので、育児休暇などは取れないのが実状である。システムができているのは教員や公務員の一部だが、代替要員自体は使い捨てのパートタイマーである。
 中小企業で働いている女性労働者や家庭責任を負っている男女労働者を支援する政策も欲しい。
 また、選挙権のある納税者として、税金の使われ方に大きな関心を持つ必要がある。
 従来、女性は政策決定の場に進出できないできた。ふくしま女性フォーラムは「政策提言」をしていけるといいと思う。

Q  結婚、子育て後に低賃金のパートタイマーとして働いている。何年働いても経験はカウントされず、時給は同じ。ボーナスもほんの少し。夫の協力もないので疲れる。

A  夫像は父親像であり、子どもはそういう夫婦関係も見ている。

Q  過疎地で農業をしている。夫との間はまだ平等ではない。こういう会に参加することは変わり者だとされる。農業は夫婦でやっていても家事労働は全て女性の分担。
 農業と織物とを女性が担っているのに、住んでいる自治体では政策決定の機関に女性は皆無である。学校での男女混合名簿も実行されていない。そんな事情を変えていくのは、女と「よそ者」ではないかと思っている。
 2000年にはおらほの村でもニューヨークにいぐぞぉ!

A  ニューヨークへはぜひ。北京会議では、アフリカやアジア、ヨーロッパの女性たちが「農業労働と家庭とのなかで働きづめだ。これだけ働いているのに評価されない。」と訴えていた。ニューヨークへ行って、それらの人々と連携を取って欲しい。

Q  深夜業をすれば、朝、子どもに声かけもできない。交通手段としてのバスがない。仮眠時間が労働時間に含まれていない。安全に深夜業務ができる保護規定について、国はどういう施策をとっているのか。

A  ILOの夜業条約では、通勤や住宅の問題も規定してある。日本がそれを批准していないということは、労働省などの政府サイドが条件整備をしていないということになる。
◇意見:看護婦の深夜業について、患者としての体験からは、二交代の方がありがたい。夕方から夜にかけて具合が悪かった場合など、翌朝の巡回に同じ人が看てくれるのは心強い。
◇意見:中小企業で、男性と同じように女性を雇用するためにはどのような制度的改善が必要か。税制・年金・社会保険などについて、ふくしま女性フォーラムが具体的に意見を出せる力があるかもしれない。易しいことではないが、今のままではあまりにも悲しい。どこが問題なのかをつめていきたい。

Q  中小企業でのパートタイマーは今後どうなっていくのか。

A 税制上、配偶者控除の130万円の壁があって、それが長く続いている。実質的に賃金がそこで抑えられているということ。物価的にスライドもしない。税制を含めた社会保障の見直し政策決定の場に、経験を持った女性が入っていない。イギリスでは同一労働同一賃金が当たり前で、短時間労働でも条件は同じである。

(報告・畑洋子&山崎捷子)

参加者の感想

時代は着実に進んでいる
 会津で学習会があると聞いて初めて参加しました。
 堀口さんのお話で、特に均等法の改正などでは不備な点を抱え、またその歩みも遅々としたものに感じられても、着実に時代は前に進んでいるんだなあと思うことができました。うちの村役場も後20年位したら、男性と平等に「昇進」した女性係長やら課長やらが半数を占めるようになるのかしらなどと、現状を思い浮かべながらニンマリ‥‥。
 女性の社会参画、男女平等のバロメーターはさまざまな政策決定機関にどれだけ女性がいるかだと、私も思っています。知恵を出し、協力しあって市民派の女性を議員に送り出したいものです。参加された皆さんの顔ぶれを拝見して、「実力」を持っている方が多いんだなあと思ったし、頼もしい「ふくしま女性フォーラム」ですね。
(井上節子 昭和村)

全ての基本は家庭に
 学習会への参加は2回目。講演の内容もわかりやすく楽しく、また反省するところもありました。女性が職場でも家庭でも本当の意味での生き方ができたと思える世の中にしていくには、男女ともにその人間性を養うことが最も重要なのではないかと思います。
 家族一人ひとりの生き方を見守りながら、いつかは社会に役立つ人間を送り出すところが家庭であることに思いを立ち戻らせていくべきですし、社会的に責任のある生き方を夫婦でしているかどうかにもかかってくるのではないでしょうか。
(小島富子 会津若松市)

時代にあった労基法の改善を
 今回の講演で、法的知識の重要さを痛感しました。年金受給者なので、現役で働いている女性の現状や労働関係法に無関心であったことを反省しました。働いている人たちがもっと参加できて、その発言が多くあれば本音も聞けたでしょうが、現状を訴える時間的な余裕もないのでしょう。労基法が、働く人たちに不利にならないように願っています。
(大木柳子 会津若松市)
※広報部註:大木さんは、準備会に参加され、素晴らしい文字で会場の看板を書いてくださいました。

法規の解釈・ことばの持つ重要性
 初めての学習会参加でした。充実した内容で、新しい知識を得ました。司会の方の和やかな進行で、初めての参加の緊張がほぐれました。
 法規の解釈・ことばの持つ重要性具体的な事例で示され、懸念されている事柄が理解できました。女性の経営者、女性の上司と部下の相互関係、法規の適用などに関心を持ちました。栗原代表のコメントは、リーダーとしての趣が感じられ、頼もしく感じました。
 質疑応答の時間不足は、前もって質疑事項を提出しておく方法もよいかと思います。
 若い世代や男性の参加もあったらと感じました。
 会場、資料の内容から見て、参加費が安すぎたのではないでしょうか。
(菅野栄子 会津若松市[非会員])

女性保護の撤廃を嘆く
 女性は、生まれながらにして有している母性を大切に守りながら、生き生きと働き続けたい。講演を聴いて、いま、全ての女性にとって大事なことは何なのかを考える機会を与えていただいた。均等法の改正は予想に反して「女性保護」の撤廃。仲間と手を組んで、不当な法改正に反対し、要求を高く掲げながら、声を出して歩み続けていくことが寛容と思うのです。
(菊地トキ子 会津若松市)

これからがますます楽しみなWFF
 男女雇用均等法は、強制力も実行力もないスローガン的なものと聞き、現状はやっぱりこんなものかとため息が出た。労基法の「女性保護規定」の撤廃により、女性の労働強化、賃金抑制が進むだろう。現状打破の一つの方策として、Positive Actionは必要だろう。これを具体化させる働きかけも必要ではないか。堀口さんのことば、「経済・生きることのみを優先すると、基本的人権も侵される。労働権と綱引きする必要もある」「税金の使い道に関心を持つ」「意思決定の場に女性が入っていくこと」に納得。女性議員を出すための学習会をWFFで企画してください。
(斎藤光子 会津若松市)

女性の自己表現・自己主張
 先にドメス出版の『女性問題キーワード』という本を読みました。講演をお聴きして、同様のことが書かれてあったと思いました。
 今回の参加者の中には常に性差別を強く意識している方々が多く、発言も活発でしたが、この地方ではまだまだです。女の子には赤い産着、夫唱婦随、良妻賢母などの生活習慣は根強いものです。法律が変わっても世の中が変わらないのは、女性の自己表現・自己主張が足りないからではないかと思います。
(芳賀甲 会津若松市)

労働者には厳しい法改正
 私たち女性労働者にとっては、大変有意義なお話でした。労働基準法の一部改正によって男女の差別がなくなることは理解できますが、労働環境の改善を確立することが重要と思います。裁量労働制は労働者にとってどうなのかをよく検討する必要があると思います。私は農業委員の三期目ですが、WFFでは農業問題の取りあげが足りないような気がします。
(本田美子 会津若松市)

 

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