ふくしま女性フォーラム・タウンウォッチング分科会

活動の視点――なぜ彫刻なのか


 「女性と街づくりで、なぜ彫刻なの?」――そう疑問に思われる方も少なくないと思います。

 実は、街中の彫刻、あるいはより広く公共芸術(パブリック・アート)については、最近ジェンダー(社会的、文化的な面での性の違い)の視点から注目されることが多くなっているのです。これが一つの理由です。

 わたしたちの研究会では、千葉大・学生グループ「オレンジ・ウーマニスト」の調査(*)と千葉大学教授・若桑みどりさんの研究(**)の成果について1997年8月の勉強会で検討しました。その内容の概略をまとめると、

(1)公共芸術としての街中の彫刻には女性像が多く、またヌードやそれに近いもの、母子像が相当の割合を占めている。
(2)どんな彫刻を置くかについて検討する審議会のメンバー、および彫刻製作者はほとんどが男性である。
ということになります。

(*)オレンジ・ウーマニスト、「街の女」、『Orange Voice』vol.7、1991年。
(**)若桑みどり、「都市における視線の支配――都市空間におかれた女性ヌード」、『文学と芸術の社会学』、岩波書店、1996年、に所収。

 公共芸術としての彫刻の設置をめぐるジェンダー関係

 また、1996年の「女性学・ジェンダー研究フォーラムワークショップ」(於国立婦人教育会館@武蔵嵐山)でも、報告があったということです。


 福島市街にも、数多くの彫刻が置かれています。わたしたちの目につくその多くは、やはり女性像ではないでしょうか?
 また、福島市は「彫刻のあるまちづくり」事業を1987年から1993年にかけて実施してきました。資料や調査結果によると、この時の審議会メンバーは全員が男性で、さらに選ばれた彫刻の製作者は一人を除いて全て男性です。
 つまり、福島市街でも、これまでの調査で明らかになったような、街づくりをめぐる「女性/男性」の関係がそのままあらわれてきているようなのです。

 「景観をよくする」「市民の文化レベルの向上に役立てる」などの目的で置かれているこれらの彫刻ですが、いま述べてきたような関係の中にあるこうした彫刻が、果たして本当に、所期の目的に沿った形で、景観になじみ、文化についての市民の感受性を養うことに貢献しているのでしょうか。男性の眼で見て設置されているこれらの彫刻が、女性の目から見ても心地よい空間形成に役立っているでしょうか。

 わたしたちの研究会では、これらの点について検証してみることにしました。やってみたのは、

(1)まず、福島の街中にどんな彫刻が置かれているのか、実際に自分たちの足で歩き、目で見てみる。
(2)福島市の公共芸術施策について調べてみる。
(3)一般の市民がこうした彫刻についてどう感じているのか、その声を聞くためにアンケートを実施する。
 この3つです。


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This page written by TAKAHASHI, June (Fukushima Univ., june.takahashi@nifty.ne.jp)