ふくしま女性フォーラム・タウンウォッチング分科会

市民へのアンケート


 続いてで述べたように、一般の市民が彫刻についてどう感じているのかについて、アンケートを実施しました。(設問については、報告書末尾の質問紙を参照。)


 アンケートの配布は、研究会のメンバーが知人に依頼するという形で行ない、合計157名の協力を得ました。
 回答者の内訳は以下の通りです。


 性別  女性‥‥79    男性‥‥74

 年齢  10代‥‥39    20代‥‥29    30代‥‥42    40代‥‥25
     50代‥‥16    60代‥‥ 4    70代以上‥‥ 1  不明‥‥ 1

 職業  中・高校生‥‥22    短大・大学生‥‥23    会社員‥‥25
     公務員・教員‥‥64   主婦‥‥ 9        自営業‥‥ 5
     その他‥‥ 9

 回答者全体のうち、Q2で「記憶にとどまっている彫刻がある」と回答した人は115人、「ない」と回答した人は42人でした。
 「ある」と回答した人には続けて、記憶にとどまっている彫刻が、どこに置かれているどんな彫刻かを訊いています。ここで回答があった彫刻は33種類にわたりました。


どのぐらい記憶にとどまっているか

 彫刻が置かれている場所と彫刻そのものについて、どのくらい街をゆく人の記憶にとどまっているものなのか、アンケートのQ3で訊いているわけですが、これを点数化してみることにしました。場所と彫刻そのものについてそれぞれ1点を与え、記憶にとどまっていれば1点、いなければ0点とします。また、不正確な記憶しかないものも、点数を与えないことにしました。今回は5つまで記憶にとどまっている彫刻を回答してもらいましたので、これで0点から10点までの結果が出るはずです。

 点数化して集計した結果は、回答者157人全体の平均が2.2点となりました。ちなみに、最低は0点、最高点の10点を取った人は3人いました。

 平均が2.2点ということは、一人平均1体の彫刻しか記憶にしっかりと残っていないということになります。

 今回は5つまでしか答えてもらっていません。もちろんもっとたくさん知っている人(10点満点を取った人たちは、多分本当はもっとたくさん知っているでしょう)もいるはずで、そうした人に全部答えてもらっていたとしたら、平均点はさらに上がるかも知れません。

 ただし、公共芸術は市民一般の芸術に関する興味関心を向上させることを目的としているわけで、少数の飛び抜けて関心が高い人による平均の上昇をねらいにしたものではありません。
 ですから、2.2点という平均はそのままの値として評価しなければならないでしょう。そう考えると、一人平均1体しか記憶されていないというのは、福島市の施策はあまり効果が上がっていないのではないかと考えざるを得ません。


人気投票――どの彫刻が好き?嫌い?

 ところで、Q4では、Q3で回答してもらった記憶にとどまっている彫刻のそれぞれについて、回答者自身がどう感じているかを答えてもらいました。その回答の集計結果から、各彫刻に対する「よい」「きらい」の回答を、そのまま「人気投票」の票として持ってきてみましょう。

 この「人気投票」による「ベスト3」「ワースト1」は以下の通りです。


          ベスト3
 1位 あづま橋上の女性像              ‥‥ 17票
 2位 稲荷神社中央駐車場横女性座像      ‥‥  6〃
  〃  パセオ通り「すわるふたり」       ‥‥  6〃

          ワースト1
 1位 あづま橋上の女性像           ‥‥ 14票

 (※ワースト票は、以下それぞれ2票、1票なので省略)

 奇しくもベストとワーストのトップを同じ彫刻が占めました。良きにつけ悪しきにつけ、吾妻橋上の3体の彫刻は記憶にとどまるものであると言えるかも知れません。

 しかし、この彫刻が「よい」理由として次のような回答がありました。

「朝夕の渋滞の時ながめると、いらいらしている気持ちが軟らぐ[ママ]」(30代、男性)
 首都圏の通勤ラッシュ時には、満員電車の中でスポーツ新聞や週刊誌の女性ヌードグラビアなどを見ている男性をしばしば見かけますが、ひょっとしてそれと同じなんでしょうか? 税金を使って設置されている彫刻がこんなふうに見られているとしたら、ちょっとさみしい気もします。


自由記述のまとめ

 回答者157名のうち61名(38.8%)が、自由記述欄に意見を書いて下さいました。

 福島市内の彫刻に批判的な意見あり、印象が薄いとの指摘あり、ほっとするとの肯定的な意見あり、もっと面白いものをとの要望あり、さまざまな意見がありましたが、主なものを紹介していきたいと思います。
(※巻末に全回答を収録しましたので、そちらもご参照下さい。)


(1)批判的な意見(計45名)

  1. 裸婦像への疑問(女性、男性双方からの意見がありました)

    • 芸術作品という権威によって私たちの感性が愚鈍化されることを恐れる。
    • 不愉快。ヘン。スポットライトを浴びた「裸婦」にギョッとする。
    • 芸術作品であっても街中でじっと見ることに抵抗を感じる。
    • なぜここに裸婦像があるのか、だれがどんな意図で設置したのか腑に落ちない。
    • 家族づれだと見づらい裸婦像(芸術作品としての評価は別ですが)。
    • 彫像というと女性の裸婦像が多いのは西洋美術の影響なのでしょうか? それが即座に「差別」にはつながらないと思いますが‥‥。
    • 私たち女性の立場からすると嫌な気分になる。
    • あづま橋の彫刻は男性の中には芸術として見ていない人がいると思う。

  2. 印象が薄い

    • 彫刻に引き込まれてしまうとかそれに勇気や感動を与えられるというものは残念ながらない。
    • たぶんどこかの通りで見ているのでしょうが、思いだせない。
    • 市内のあちこちに彫刻があることは知っているが立ち止まってゆっくり見たことはありません。
    • 特に印象に残るものもなく気にとめたこともない。必要ない。

(2)肯定的な意見(計18名)

  1. ほっとする、美しい

    • 時折、「おやこんなところに」とほっとすることがある。
    • 車を運転していて、気分的にホッとすることがある。
    • 彫刻が町の中にあるとやはり、ほっとした気持ちになる。
    • 空間を利用したアートであり、美しいものである。決してジャマであったり、見苦しいとか、マイナス要素はないと思う。

  2. もっとたくさんほっとするものを

    • 交通渋滞が起こりやすい箇所に置けば、ドライバーのいらいらしている気持ちをなごませる効果があるので、どんどん設置してほしい。
    • ほっとするものがもっとあればよいと思う。

(3)提言的・要望的な意見(計17名)

  1. アニメのキャラクター像など面白いものを

    • 子どもたちに人気のアニメなどの像を作って下さい。
    • もっとおもしろくてインパクトのあるものがあるといい。
    • 人間以外のものが印象に残るものがあってもよい。

  2. もっと宣伝をすれば

    • もっと広報、宣伝したらよいのではないか
    • 彫刻ウォッチングのパンフレットを広く配布する必要がある。


 このほかにも、環境との調和や設置場所への疑問、テーマ性・統一性への疑問なども多く、市民から見て、市内の彫刻が身近な愛すべき存在・誇るべき存在ではなく、なんとなく置いてあるが、それが自分の住む町にあることの存在理由をはかりかねているという全体的な印象がありました。
 また、男女を問わず、裸婦像の多さにとまどっている、あるいは不愉快と感じている市民がたくさんいることをうかがわせました。
 もっと動物像などほっとするもの、あるいはほのぼのとするような像を求める声もたくさんあり、市民は自分たちに心地よいものを求めている傾向もあると言えると思います。


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This page written by TAKAHASHI, June (Fukushima Univ., june.takahashi@nifty.ne.jp)