活動紹介

オンライン・ダイジェスト


ふくしま女性フォーラム
〒960-1296
福島県 福島市金谷川1
福島大学 行政政策学類
栗原研究室気付(WFF事務局)

tel 024-548-8278
fax 024-548-8278

wff-web@myriel.jp


■「うふふ」 第29号(2001.6.29)

目次

第6回定期総会


記念講演
2001年5月20日(日)/福島県男女共生センター
[講 演 要 旨]
講師 大沢真理
東京大学社会学研究所教授
1995〜2000 総理府男女共同参画審議会委員
2001.5    内閣府男女共同参画会議
       男女共同参画影響調査専門調査会長

【ジェンダーフリー社会としての男女共同参両社会】
 男女共同参両社会とは、一番簡単にいうとジェングーフリー社会のこと。橋本政権の構造改革の取り組み以降、歴代首相はたとえ目先だけであろうと「男女共同参画は日本社会の変革のカギである」と表現している。
 90年代半ばくらいまでの日本の女性政策のパラダイム(問題や課題をとらえるときの基本的な枠組み)は、女性問題解決あるいは女性の地位向上だった。
 しかし、90年代後半、「女性問題解決」から、「ジェンダーの主流化」へと女性政策のパラダイム転換が起きた。この背景には自民、社民、さきがけの連立政権の存在があった。
 行政改革が橋本内閣から小渕内閣へ引き継がれ、省庁が22から12になる際、新たに内閣府が誕生した。この中に新しい国内本部機構「男女共同参画会議」ができた。そのもとで今、ジェンダーの主流化が正念場を迎えている。

【ジェンダーと男女共同参画ビジョン】
 男女共同参画社会の法令上の定義は「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動で参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を共有することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」。
 肝心なことは、ここでは「対等」「均等」や「機会」は使われたが「平等」は使われていない。しかし96年、総理の諮問機関、男女共同参画審議会の答申「男女共同参画社会ビジョン」(以下ビジョン)は、男女共同参画社会が真の男女平等を目指すものとした。
 ビジョンは目指すべき姿を示しただけではなく、政策や各界の運動の取り組みの道筋を示した。男女共同参画社会は「男女が社会的、文化的に形成された性別(ジェンダー)にしばられず、個人の守る能力や意欲を生かして共同参画する社会を目指すもの」で、「男女平等を超えて、人間が性別にとらわれることなく、個人個人としてその能力や意欲を存分に生かして生き方を選び取る、そういう社会を目指す」こととなった。

【ビジョンが示す具体的な取り組み】
 ビジョンが追及する男女共同参画の取り組みは「目標」と「手段」。
 「目標」は、主要施策で男女共同参画を目標とすること。ビジョン以前、日本政府の施策はなぜか女性と子供が対象だったが、ビジョンでは男女が対象になった。
 「手段」としては「構造的に変わらなければいけないときに、男女共同参画こそが肝要な条件である」と、日本が変わるカギが男女共同参画であると位置付けられた。

【男女共同参画と少子高齢化】
 次に、男女共同参画は日本が変わることにどう役立つのか。
 「男女共同参画を進めたら、女をつけあがらせて、ますます子供を生まず、わがままになる」と腹の中で思っている男性は多いが、この意見に対してビジョンはどうとらえるか。 日本では、少子化はそんなに問題ではない。百年前の日本の人口は6千万人、江戸時代は3子万人ぐらいで安定していた。日本の場合、諸外国に例をみない急速なスピードで高齢化が進んでいるのが問題。世代間の支え合いによる年金制度は、高齢者を支えられなくなる。
 これを乗り切る方法は、慌てて子供を産むことではない。子供は生まれてから25年間は依存人口で、子供を産めば逆効果になる。
 高齢化の坂道を和らげる方法は、税金や社会保険料を払っていない人に、払うようになってもらうしかない。
 「払っていない人」とは30歳代の女性と60歳代の男女。このうち60歳代の男女は十分に働いており、あとは、労働力が50%を割る30歳代の女性。
 男女共同参画のビジョンは、女性の就業率を上げると書いており、そのために両立支援や育児・介護休業、長い労働時間や通勤時間の改善が必要になる。

【男女共同参画会議の新しい任務】
 一番最初に述べた「男女共同参画会議」は、官房長官を議長として府省の大臣12人、学識経験者12人からなる。
 従来の審議会にはない新しいものとして、 「施策の実施状況の監視(モニタリング)」と「政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響調査」、「首相や関係大臣への意見」。
 監視や影響調査は、男女共同参画会議の固有の権限で、観点は「女性、男性そのものの実際的なニーズを満たすよう努めているか」「女性や男性いずれかが施策の便益から排除されていないか」「施策の企画立案や事後において、女性男性双方が参加しているか」となっている。

【地方自治体の施策と苦情処理】
 国の基本法が求める監視や影響調査は政府の施策についてであって地方自治体の施策は全く手付かずだ。
 東京都や埼玉県などは男女共同参画社会の条例をつくっているが、影響調査や監視の条文がなく、どうやって庁内のセクションでやるか規定もない。
 これから条例をつくる自治体は、どうやって監視や影響調査を条例に埋め込むか、実施する主体をどう位置付けるかが重要。
 苦情処理ルートも大切で、私は役所と民間の施策に関する苦情処理に第三者の関与が必要だと強調している。
 千葉県が「日本で一番良い条例をっくる」と張り切っているが、苦情処理や影響調査、監視を組み込んだ条例になるよう見守りたい。

トップへ戻る ^