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■「うふふ」 第30号(2001.9.27)

目次


スウェーデン調査旅行報告

「ジェンダーフリーな職場とは」PT
チーフ 栗原るみ
 「ジェンダーフリーな職場とは」PTでは、県の男女共同参画自主企画海外研修の助成金を得られることになりましたので、2001年8月25日から9月3日まで、残りの資金を生活費をはたいて何とか工面したメンバーが、ストックホルムに出かけました。あこがれの北欧の男女共同参画の先進地の実情を、「どうしてそれが可能になったのか?」私たちなりに知りたいと思って計画を立てたものです。31日まで6日間ストックホルムで本当に盛だくさんの調査をしました。9月1日はストックホルムでホテルが取れなかった関係で、女性大統領がいるヘルシンキまで船旅を楽しみました。 男女共同参画を最もビジュアルに示しているように思えた「父親が乳母車を押している写真」をスウェーデンだけでなくフィンランドでたくさん撮ってきましたので、ぜひ楽しみにしていてください。スウェーデンでは、男女平等の現状と課題について、次のような形で調査を行いました。
 第1は、政府の男女平等政策の現状についてです。政府機関で、お目にかかってお話を詳しく聞いたのは、男女平等オンブズマンのIrma  Irlingerさんと、ストックホルム県の男女平等部長のGunilla Sternerさんです。その他、ソルナ市役所とストックホルム市役所でもたくさんの資料をもらいました。 こちらの聞きたいことについて、気持ち良く答えを捜してくれる物腰に感動すると共に、国、県、市という3段階の行政のあり方と連携について知ることができました。 問題は解決するためにあると考えている公務員のいる国なんだなという印象をもちました。
 公共部門での女性の活躍に対比して、スウェーデンでも民間企業における男女平等などの達成はなかなか困難なのが現実です。 職場の男女格差を除去し、男女の平等を達成するために実施している政府の活動について、雇用者に義務付けている男女平等へ向けてのプラン作りの実態なども含めて、いろいろ資料を集めてきましたので、今後のの報告をお待ちください。
 第2に、男女平等政策は生活者である女性の意識にどのように受け止め(受容あるいは批判)られているのかについてです。 普通の人々が、男女平等の進展とどう関わってきたか知りたかったので、自分史のヒアリングを行うということを考えました。でも、どうすればできる? 中山さんのアイディアで、高齢者センターと生涯学習センターを訪問しました。 年金生活者なら時間があるだろうし、60年代と70年代についての記憶もあるだろうし、自分史を話してくれる人が見つかるかもしれないと考えたのです。 こうしたインタビューは、英語では全く無理で、こうした当然でありながら難しい計画を立てることができたのは、まったくもって団長の中山さんのスウェーデン語のおかげでした。 ベリエスハム高齢者センターでは、Berniceさんに老人の介護の現状と施設の概要について説明を受け、94歳のAlic・Bermanさんと介護の仕事をしている63歳のGun Calimさんに自分史を聞きました。高齢者センターにはいよいよ動けなくなった高齢者しか入所していないことが、自分史を聞ける人を捜すのは結構困難なんだなと感じることで、よく理解できました。 このセンターを拠点にしてヘルパーの方々は、在宅者の介護の地域をまわっています。作業場食堂にはこの施設に入所していない近隣にすむ高齢者もあつまってきています。機織りに熱中しているジャーナリストあがりの陽気なおじいさんとも出会いました。 ストックホルムの高齢者余暇センターでは、71歳のSiw Rylanderさんと79歳のMarit Ernnydさんに自分史を聞きました。 大企業の労働者とファッション関係の会社の経営者をリタイアした年金生活者で、離婚や再婚の話も子育てと仕事との関係についても話してくれました。 94歳のアリスは70年代にすでにリタイアの年代に達していたためかほぼ専業主婦の経験しかありませんでしたが、その他の方々は仕事について話してくれました。 特に事前に頼んで捜してもらっていた選ばれた人ではなく、突然お願いしたにもかかわらず、誰もが話し出すときちんと記憶をたぐってくれるのです。 仕事をしながら、結婚しても離婚してもあるいは再婚しても子育てをし、自分で決断して生きてきた自分の生涯に自信をもっていろいろ話してくれる。スウェーデン社会の質について考えるための素晴らしい体験を得たと思います。
 第3に、問題別アプローチ。税制と農業についての調査のためにストックホルム大学とソルナの農業公園を訪問しました。 ストックホルム大学では、クリスティーナ・フロリン教授に世帯単位から個人単位に移行した時期の研究について資料や研究の現状につき話を聞きました。これについての検討は、今後の読書にかかっています。制度の変更とそのことを受け止める普通の人々の意識との関係をどう考えるのかという困難な問題も抱え込みました。 農業公園は、農家が1軒も存在しないソルナ市が、もと農場を環境重視型モデル農園にしたものでした。都市部からの農業の撤退の歴史と、環境問題を重視した食料の安全性や地域性の確保にEUレベルでどう取り組んで行くかが課題なのだという話を、有機農産物でお菓子をサービスしている女性から聞きました。農業問題に関するEUの問題意識の一端に触れた感じです。
 第4として、スウェーデンの事情について、日本語で話を聞く機会が持てました。ジェトロのストックホルム事務所長の高井英治さんには、いろいろ興味深いお話をうかがったうえ、女性と労働に関する福島県内の調査表を在スウェーデンの日本企業に頼んで集めていただけることになりました。部分的とはいえ、日本の福島県内の事情を在スウェーデンの日本企業との比較ができるかも知れません。 国際図書館に勤務しているスウェーデン国籍を取得した「しずこさん」は、中山さんの古くからのお友達で、お食事をしながらゆっくり話し合う機会が持てました。 彼女からはスウェーデン社会を生きる場として選択した理由が、静かに理性に訴えられてくるようで、社会の質を一人ひとりがどう参画してつくっていくのか考えなければということを改めて提起されたように思いました。 ストックホルム大学の上級講師のレグランド塚口淑子さんからは、これもお食事をご一緒しながら、社会学者としての視点でスウェーデン社会に関する多くのお話をきくことができました。 その他、教会の夜のコンサートを聞いたり、公園で中学生からインタビューを受けたり、屋外の喫茶店で抹茶茶碗のようなカップでカフェラッテを飲んだり、地下鉄にも、バスにも、タクシーにも、電車にも船にも乗り、その他、その他、信じられないほどいろんなことができた調査旅行となりました。 わかったというには、ささやか過ぎる滞在ではありましたが、どうもリラックスできる社会の雰囲気、それぞれの要望を受け入れてくれる雰囲気に、なぜか活性化した数日を過ごすことができました。 今後、少なくとも「パパ休業」については、県から補助された金額に見合う程度以上のバッチリした美しい報告書を作成したいと思っています。その他の問題についても、徐々に論文とか本にして、皆さんと共有できる方法を考えていきたいと思っています。 わたしは少々英語を読む意欲が湧いてきました。スウェーデン語の資料は中山さん頼みです。


「教師のための男女平等教育セミナーに参加して」
「ジェンダーフリー教育を考える」PT
南條かおる

 7月24日(火)〜7月26日(木)、「国立女性教育会館(ヌエック)」で行なわれた「教師のための男女平等教育セミナー学校教育の中のジェンダー/男女平等教育を考える」に参加してきました。 これは教育委員会、教育センター、各学校の校長、教員を対象としたもので、「学校教育における人権尊重、男女平等に関する指導の充実及びジェンダーに敏感な視点の定着と深化に資する実践的な研修を通し、男女共同参画社会の形成を図る」ことを目的とし、国立女性教育会館の主催で行なわれたものです。 全国から150人ほどの、幼稚園から高校までの教員、指導主事などが参加して、熱気に包まれた3日間を過ごしました。 1日目は、先ず、文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長の有松育子氏の「男女共同参画社会の実現に向けて」と題した全体講義で始まりました。 ここで我が国の男女平等参画社会の実現に向けた取り組みが紹介され、次に、国信潤子氏の講義「ジェンダーとは」と続き、これを受けて村松泰子氏によるワークショップ「ジェンダーに敏感な視点を身につける」が行なわれました。 参加者の中には「ジェンダー」という概念にも初めて触れる人も少なからずいましたが、この1日目の講義とワークショップを通して、今まで自分が保持していた考え方の中に潜んでいた「ジェンダーバイアス」に改めて気付かされたという感想が多く聞かれました。 2日目は、朴木佳緒留氏の全体講義「学校教育の中のジェンダー」の後、各分科会に分かれてのワークショップが行なわれました。
分科会は
A 「性に関する指導をジェンダーに敏感な視点で考える」
B 「総合的な学習の時間をジェンダーに考える」
C 「メディア・リテラシーをジェンダーに敏感な視点で考える」
D 「学校経営をジェンダーに敏感な視点で考える」
の4つに分かれていて、私はCに参加しました。
ここでは実際のTVコマーシャルを観察・分析しましたが、いかに我々が日常生活の中で繰り返しジェンダーバイアスを刷り込まれているかを強く再認識しました。また1日目、2日目を通し、夜は自主的に有志が集まり、お互いに情報交換会が盛んに行われました。こうして朝早くから夜遅くまで正に密度の濃い2日間を過ごした翌3日目、既に体力は限界値へと近づいていましたが、この日はまとめの日として、各分科会の報告と、舘かおる氏の全体講義「これからの男女平等教育を考える」が行なわれました。この3日間を通して、個人的には新たな発見はなかったものの、各地方の教育の実態の一端に触れられたこと、多くの人々と出会い、ジェンダーフリー教育について語り合えたことは素晴らしい経験となりました。また参加者の中には「今までの自分の生徒に対する接し方を改めて考えさせられる機会になった。」とか、「目からうろこが落ちたような経験だった。」といった感想を述べる人が多く見られました。ジェンダーフリー教育について考える時、実は、それに直接携わる教員が最も「隠れたカリキュラム」を再生産してしまっているのではないかということは、先日公表された、男女共生センターの「福島県の高校生のジェンダー環境に関する研究報告書」からも読み取ることができます。これから我々教員に求められなければならないもののひとつは、「ジェンダーに敏感な視点で考えることができる」ことなのは疑いようもありません。私は今回の研修を通して、今後、数多くの教育に携わる人々が、同様の研修の機会を持つことによって、よりジェンダーに敏感な視点を身に付けることが、ジェンダーフリー教育を実現する為には必要不可欠であるとの感を強く持つに至りました。



「女性学・ジェンダー研究フォーラム」の報告
「ジェンダー・フリー教育を考えるPT」
根本亮子

 去る8月25日(土)に、武蔵嵐山の国立女性教育会館で開催された「女性学・ジェンダー研究フォーラム」に参加しました。 午前の部では「21世紀をひらくみやぎ女性のつどい」の「高校生のジェンダー意識の現状〜仙台地区高校生1774人のアンケート調査から〜」に出席し、午後の部は「学校をジェンダーフリーに・全国ネット」の「今、『共学』を考える〜高校共学化の動きを通して〜」に報告者の一人として参加してきました。 午前の部は、主にアンケート調査の報告でした。特に報告したいのは以下の点です。

@別学校の男子生徒に、男女の特性や能力に関し固定的意識が強い生徒が多く見られた。
A別学校の女子生徒は、もっともジェンダーバイアスの少ない回答をしていた。
B教員は、自分は生徒を男女平等に扱っていると思っている者が多い。
C生徒のジェンダー意識の形成は家庭環境が大きく関係している。

 以上のことからやはり今後取り組んでいくべきことは教員の意識改革であるという感想を持ちました。 午後の部では、ジェンダー・フリー教育を考える分科会から南條と根本が報告者として参加しました。報告は、私たち福島県のほか、宮城県、群馬県、埼玉県の共学化の現状について行われました。 宮城県では平成10年3月に「みやぎ男女共同参画推進プラン」により男女共生教育施策の一環として公立高校の男女共学化が掲げられ、その翌年県民へのアンケートによって6〜7割の賛成を受け共学化が決定されました。しかし、11年秋頃より仙台市内の別学伝統校の在校生およびOG/OBによって「母校を守る」抗議などが展開され反対運動が活発化します。現在、県は「校舎の改築や学科改変を機に各対象校の関係者の理解を得ながら全てを共学化する」と述べているものの、市内伝統校の共学化の具体的な点については一切触れていないとのことでした。 群馬県では、「公立高校男女共学を実現する会」が中心となって学習会を行ったり、「男女共学化」早期実現に向けての要望書を教育長・知事宛てに提出し、共学化に向けて活発に活動を続けているとのことでした。しかし、現在、県の「学校改革推進計画策定委員会」では、専門部会での全高校の共学化の決定にもかかわらず、「もっと慎重に検討すべきだ」という姿勢を打ち出しているようです。 埼玉県では、12年3月に「21世紀いきいきハイスクール構想」が県教育委員会から出されました。その内容は、「男女共学は、教育の機会均等などの趣旨から意義のあることであり、新設の高校ではいずれも男女共学としてきた。一方、男女別学の高校は、長い歴史と伝統を持ち、地域社会に親しまれ、別学ならではの特色を生かしてきた。今後の共学化については、学校関係者の意向や地域社会の動向、生徒募集上の男女バランスなどを見ながら対応していく。」というものでした。ただし、運動としてはこれまでまとまったものは存在せず、これからネットワーク化を行う段階であるということでした。 私たちは、これから共学化を迎える福島女子高校、福島高校へのインタビュー結果と、13年度に共学された4校への質問の回答を報告しました。福島女子高校と福島高校へのインタビューの結果わかったことは、男子校の生徒たちは共学化の主体であろうとする姿勢は感じられるものの、女子高の生徒たちに比べてジェンダーや男女共生などの意識の面での取り組みの姿勢は低いということでした。また、男子校の生徒たちは自分たちの高校が序列の下に組み込まれるのではないかというような心配はしていないようでした。
 それに比べて女子高の生徒たちは、序列化を心配しており、「社会はまだまだ男女平等ではないので、男子校の方が権威があるように見える」とか、「もし、自分が中学生だったら福島高校に行くと思う。元男子校に行って挑戦してみたい。男子には負けたくない」などの意見が聞かれました。 また、13年度に共学化された高校に簡単な質問をしたところ、やはり圧倒的にルーム長の割合は男子が多くて、成績もやや元女子高の方が低下している様子ということでした。そして、元女子高では、部活動について希望者が来る前に当然のように「野球部」「サッカー部」が設置されていましたが、元男子校では特に女子のために設置した部活動はなく、募集し、集まってから設置という傾向が見られたようでした。 今回、普段知ることのない隣県の共学化への取り組みについてお互いに報告し合うことができて、改めて「変わろうとしない男子校・変わらざるを得ない女子高」の姿と、「男子が入ってくるのには特別な配慮」がされるという共学化の実態が明らかになりました。 本当の意味でのジェンダーフリーな共学化を実践するためには、共学化という形だけではなく、その中身や方法論、共学化した後の対応についても考えていかなければならないということを強く感じました。


「アメリカでの同時多発テロ報道を読み解くメディア・リテラシー」
(※リテラシー:読み書きの能力)
山口晢子(2001.9.15記)

 新聞、TV、雑誌、CMなどのメディアがどのように女性像・男性像を描いているかというジェンダーの視点からのメディア・リテラシーを普段から気にとめている私にとって、このたびのアメリカにおける同時多発テロをめぐる報道は、ジェンダーとは異なる切り口でのメディア・リテラシーを改めて考える機会となっている。 メディア社会を生きる私たちにとって、多様な形態で現実を創り出す力であるメディアを批判的(クリティカル)に分析し、評価し、それを主体的に読み解くメディア・リテラシーが求められている。 このたびの事件発生以来、日本のTV報道は連日、ニューヨークの世界貿易センターツインタワービルへ飛行機が衝突し炎上する映像、その後のビル崩壊、人々が煙と瓦礫の中を逃げ惑うさま、行方不明の家族の写真を掲げて必死で情報提供を求める人々の姿などを生々しく伝えている。そして同じシーンは、ニュース番組で、特集番組で、ワイドショー番組で、幾度となく写しだされた。 また、解説では、「前代未聞の惨劇に世界中からの非難が集まった」「想像を絶する悲劇」「全米の怒りは世界中にさまざまな反響を与えている」「世界の警察官を自認するアメリカのメンツ、面目にかけて」など、犠牲になった人々を悼みつつ、テロリズムを憎悪し非難するメッセージを繰り返している。 驚き、心痛めながらこのような報道内容を見聞きしている私は、ふと不安に駆られてしまうのである。なぜなら、米国の報道も、それを受けての日本のメディア報道も、「米国は完全なる被害者であり、それがすべて」というメッセージを伝えているからで。私たちはこの一連の報道を、メディア・リテラシー基本概念を念頭におきながら受けとめるべきであろう。つまり、メディアは特定の価値観を具現すべくつくられた現実を伝えていることである。米国の伝える報道は、米国のものの考え方と価値観を具現しており、米国の社会的・政治的意図をもつということである。湾岸戦争で私たちが受け取った情報が、意図的に操作された米国サイドの情報であったように。いま私たちが考えるべきは、「なぜこのような惨劇がおきたのか」について米国と中東諸国との歴史的関係をふまえて位置付けることであり、国際的合意を取りつけた報復(正当化されたテロ)をもくろんでいる米国に加担し、紛争を拡大ることなどではないだろう。

ロンドン便り
辻 みどり

 9月末の帰国まであと2週間。引越し業者に荷物の集荷を予約する一方、大切な書籍やコピーの荷造りを始めましたが、日中は相変わらず図書館通いを続けています。夏休みに閉館していた図書館が再開したので最後の追い込みです。 今日は5時に図書館を出て、運動のために地下鉄2駅分歩いて自宅に戻ったところ、ホストファミリーの奥さんから、アメリカで起きたテロ事件のニュースを聞かされました。 奥さんは米国人なのでかなりショックを受けている様子でしたが、英国人の夫はパブで飲んでいて夕食に遅れて帰宅したうえ、ほろ酔い機嫌で「ブッシュは犯人を臆病者呼ばわりするが、自分の命を犠牲にしたテロリストはカミカゼ特攻隊に通じる崇高なものであるのではないか」などと、日本びいきの知識を妙なところで発揮するので、ディナーテーブルが一触即発の危機に見まわれました。 ご夫婦ともアングロサクソン系の白人でありながら、英米の文化背景の違いから生ずる異文化交流(摩擦)は日常レベルで頻発し、時にはアジア人・日本人の私を巻き込み、三つ巴になり、この1年半の滞在中に私は「異文化交流実習」の単位をとった気分です。 しかし、つい昨日までこの家では家族会議レベルの緊急事態で混乱していました。 末っ子のお嬢さんが妊娠し、結婚せずに産む決意表明を伝えてきたからです。 相手がアイルランド系であること、宗教がローマンカソリックであること、高等教育を受けていないことなどがすべて、インテリを自負するこの家の家族からマイナスイメージとして語られていく中、彼女が未婚のまま出産すること自体は議論緒の俎上に乗らないので尋ねてみたところ、未婚の母は社会現象としてすでに認知されているので、世間体に問題はない、二人が辻褄合わせのために結婚するより、養育費の責任問題をはっきりさせることが必要だという説明でした。 この家での問題の焦点は、民族の系列と宗教の相違、教育レベルの相違にあるようです。 ロンドンの街中でも、現実として民族・宗教・人種など多様な異文化が複雑に絡みながら共存する中、それらの条件と密接に関連して男女という異文化共存の問題が位置付けられ、一方女性というくくりの中でもシェルターを宗教別に設置するなど異文化対応が必要だったり、摩擦が生じ得ることになるようです。 来年のW杯がらみで日本国内の異文化交流も加速的に展開するでしょうし、異文化共存を前提とした意識への切り替えが求められることにもなりそうです。


  事業部から
T「企業の男女共同参画実態調査」PT順調に進行
  8月18日、2000社へ発送を終了しました。  9月18日現在、400社から回答が来てい ます。 今後は、回収されたものについて、集計・分析及び主な企業へのインタビュー調査を行います。
U男女共生センターに対する要望
  平成14年度の事業についての要望は、すでに設置されている4つのプロジェクトチームから提出することになっており、「DV」、「ジェンダーフリー」のチームからは、詳細な要望が出されました。 その他に、企業のトップと市町村長に対し、男女共同参画に関する徹底を行ってほしい旨の提案が出ております。これらは9月中に提出します。


「福島県男女共同参画推進条例意見交換会」参加レポート
「男女共同参画推進条例を考える」PT
菅野芳子

 県主催の「意見交換会」が県内3方部(いわき、会津、郡山)で開催され、9月14日の郡山会場(ビッグパレット)には県北・県中・県南の市町村から120名ほどの参加がありました。 条例PTでは、県の条例検討委員会の論点整理資料をもとに事前に勉強会を持ち、当日は5名が参加しました。 メンバーが述べた意見の概要は次のとおりです。 T条例の前文について  基本法においても国会での修正で「誰が読んでもわかるように」という趣旨で前文が設けられた経緯がある。目的及び基本理念の条文を設けるから前文はいらないとか、従来の県条例には前文がないという意見も出ているようだが、前文の中で福島県の特性を踏まえた条例を制定する旨を述べることにより、県民に一層の理解を得られるものと思われるので前文はぜひ入れてほしい。
U責務規定について
  事業者の責務として、事業者は雇用の分野において男女共同参画を促進する責務を有する旨の規定を入れるべきと考える。また、高齢社会が進行する中で、女性の経済的自立を促進することが不可欠である。そのためには就労女性の地位の向上を図ることが重要であることから、企業に対する共同参画を進めるための責務規定はぜひ必要である。
V財政上の措置について
  男女共同参画を推進する上での県の責務として、財政上の支援措置は必要である。予算の裏づけがあれば実効を伴う施策を継続的に講ずることが可能である。
W家庭生活と職業生活の両立支援について
  事業者に対しての責務はむしろ就労環境の整備であり、両立支援のための条件整備は県の施策である。
X苦情処理について
  東京都の規定では、「都民及び事業者は……知事に申し出ることができる」という表現をしている。本県においても県民の主体性を持たせた条文で表現してほしい。
 他の参加者からも多種多様な意見が出され、関心の深さを感じました。
 これらの意見については、委員会で充分に検討する旨の回答がありました。

 9月10日いわき市簡易保険保養センターで開催された、いわき方部の意見交換会に参加した塩史子さん(広野町議会議員・会員)の報告はつぎのとおりです。
T福島県の特性:女性議員の数が日本一少ない。中高年齢女性の堕胎率が高いなどを折り込んだ条例にすること。
U学校教育の問題点は、人権教育がされてな  いこと。(教員も含めて教育すべき)
Vジェンダーという文言を入れるべきか否か。
  時間が足りなくなるほどいろいろな意見が出て、おもしろく又、楽しく学んできました。



情報開発部から

◎地域の動き
 「桑折町の小学校混合名簿に」
 学校は一番「男女が平等」とおもわれているけれど、実はそうではないところだということが、最近のいろんな調査等からわかってきました。混合名簿になればそれでよいということではなく、これを機会に学校の中でジェンダーについて、男女平等について、考えるきっかけになればよいですね。子どもたちも、もちろん教員も。
  地域(市町村等、お住まいの所)での動きを伝える情報を募集しています。確かな情報なら、隣の町のことでもかまいません。まずは下記へご一報下さい。高橋  準 960−8134 福島市上浜町12-14-102 june.takahashi@nifty.ne.jp)
◎福島民報2001年7月12日の論説「“ミス会津”でなぜ悪いのか」は、いわゆる男女共同参画についての執筆者の無理解と不勉強を顕わにするものであり、またそれを掲載した新聞社にも責任があると考える会員有志で、抗議の「インターネット寄せ書き」をWFFのメーリングリストおよびホームページ上で募集したところ、11通の「寄せ書き」が会員・非会員から集まりましたので、これを福島民報社にメールで送ることにしました。民報社からの返事は、「担当者に渡します」というメール受付担当者の一言(9月1日現在)のみでした。 集まった「寄せ書き」はホームページに掲載されていますのでご覧ください。 http://myriel.ads.fukushima-u.ac.jp/~wff/etc/yosegaki_mail.html) 福島民報の「論説」原文も読むことができます。 意見の一部を紹介します・福島民報さん、はっきり言ってガッカリしました。ジェンダーの問題についてもう少し勉強してください。(郡山市、男性)・「ミス会津でなぜ悪い?」のタイトルが宍戸さんの意見を物語っていると思います。「ミス」として、スタイルが良く、顔が綺麗で、胸の大きい女性がもてはやされる事によって、子供たちの受けるストレスを考えた事があるのでしょうか?(神奈川県、女性)・性別による差別という人権問題を「男と女の対抗」「男に負けないという女の気負い」としか捉えていないのですね。これが福島を代表する地方紙のレベルであると知り、深く失望いたしました。(郡山市、女性)

◎朝日福島版の「ストレスクリニック(水曜日掲載のコラム)」について 9/5付は「月経前不機嫌と女性の犯罪」というタイトル。 [ここのところ20代の女性に性感染症STD]が増えている原因は、性行動の変化によるピンポン感染。ところで若い女性が性非行に走るととめどもなくなる] ホルモン分泌と精神状態がまったく関係ないと思いませんし、たしかにPMDC(月経前不機嫌症候群)によって違法な行動をとってしまうことがあることは、観察される事実なのでしょう。 しかし、こういう言説ばっかり世に流通していると、それを読まされる特に10代の、自分の身体の変化に直面して戸惑いつつある少女たちはどう感じるのでしょうか。自分の身体についてのマイナスのイメージばかりを受け取るような気がします。 もっともPMDSが顕著に現れるのは30代後半から40代前半だそうですが。
 このコラムを講義で資料として使った時の学生の感想も聞いてみました。・「STDについてのコラムは偏見に満ちていると思った。」・「どんなに偉い人が言ったことにでも疑問を持ち実際正しいのか検証することが大事だと思った。」・「新聞記事のことは、私も何か変だと思った。特に、”若い男性にとって性非行は一つの通過儀礼”がひっかかった。これは男女平等と見ていないのではないか。」・「私は、新聞記事を読んで、これはおかしいと思った。女性の責任ばかり責めていると思った。」・「新聞の記事で、女性だけが悪いようにかかれていて、嫌な感じがした。」 筆者は、Woman−Hatingなんじゃないか?と疑ってしまうような毎回の記述です。


私にとっての未来博
丸山八重子

 県民一人ひとりが様々な思いを抱きながら、うつくしま未来博がオープンしました。メインイベントとしての県民参加プログラムは2001の数をかぞえ、私が代表を務める「大型仕掛け絵本づくり委員会」も無事その役目を終えました。 開会式も含めて延べ9日間にわたる参加の都度、キリキリ舞した日々を自己反省も含めた報告です。 約1年半の準備期間がありましたが、最初から波瀾含みのスタートでした。 まず、未来博そのものの意味、意義がなかなか自分の中で消化できず、委員会を立ち上げるのに半年もかかってしまいました。私たちなりのイメージをどういう形で表現するのが良いのか、未来博協会担当者も交えた話合いを何度も重ねて、たどりついたのが「大型仕掛け絵本づくり」でした。 何故絵本なのか…。溢れるほどのデジタルなもの。パソコン、TVゲーム、携帯電話etc…。こういうものに囲まれた便利が当たり前の生活。未来に生きる子どもたちにとってそれが本当に豊かな生活なのか、それだけでいいのか。人のぬくもりが感じられるアナログなものも、もっと伝えていかなければならないのでは…?大事なのはそれらのバランス。そんな思いで始まった企画でした。 1期・2期合わせて100名以上の子供たちが参加しました。そのストレートでパワフルなエネルギーにどれだけ応えられたか不安が残りますが、それに倍する楽しい時間を共有できました。 具体的な運びでは1回1回がすべて手探りの綱渡り・泥縄的活動でした。 いよいよ本番・開会式の日です。前々日から何度も繰り返されてきた打ち合わせとリハーサル。秒単位のスケジュールにもかかわらず自由奔放な子供たち。 胃が痛くなるような眠れない夜を過ごしての本番の朝、総監督の一言。「昨日までのリハーサルは忘れてください。全てアドリブで…。」(いまになって勝手にやれってか?)と思いつつステージに登ったのですが、わたしの心配はどこえやら。どうしてどうしてチャイルドパワーは全開。予想もつかない受け答えで司会者を絶句させたり、掲げた絵本が逆さまだったりと図らずも大いに会場を沸かせてくれる結果となりました。 翌日の新聞には、満面の笑みを浮かべ満足そうに手を振る子供たちの顔、顔、顔がありました。あれでよかったのかなあという複雑な思いが交錯しましたが、子供たちが楽しんでくれたのだから、結果オーライということで自分を納得させました。 オープンから数えて計5回参加しましたが、7月にはあの暑さにクーラーがダウンして、人間の方は「あせも」なんていう懐かしい体験をしました。8月には2年ぶりの台風上陸で未来博そのものがお休みというハプニングもありました。 参加の都度、朝6時半に家を出て、夜11時に帰宅というハードスケジュールも効きました。 未来博の裏側もよく見えました。寝食を忘れて飛び回るスタッフ。様々な人々とのチームワーク。一つのものを作り上げて行く苦労はありましたが、それが認められた時の達成感は何にも代えがたいものでした。子供たちもきっと大きななにかをつかみとってくれたことと思います。 「理由ある偶然」とでも表現したい個性豊かな人たちとの出会いと共有した時間は私の永久保存版になりました。 暑い夏でした。オープン当時のあの酷暑はどこへいったのでしょう。疲れがとれたらあの仲間たちとまた会ってみたいと思うこのごろです。

広報部:機関誌編集担当からのお願い

 今回は原稿の集まりがよくて、カリカリしないで編集が運んだことをまずはお礼申し上げます。一方できちんと書いてほしいことが各原稿に共通してあったので、一言。それはプロジェクトチーム(誌上PTと表示)の名称。これはいわば表札ですから、総会で決定した事業計画に基づいた正確な名称を書いてください。「部会」とか「分科会」とかいう表現で書かれたものは全て訂正しました。 小さなことにも神経の行き届いた文章を書くということもエンパワーメントのひとつと思うのですが、次回へ期待しましょう。

編集後記
 かれこれ4ヶ月続いている朝のウォーキング。毎朝玄関先に立って東西南北どっちへ行こうかちょっと迷うのも楽しい。ずいぶん長いこと住んでいるのに知らない道がたくさんある。一番のお気に入りは、思いがけない広さで田んぼの間を貫いているあぜ道。今は稲穂が重く垂れていて、炊き立てのご飯のような匂いがする。 目の前に吾妻を遠くに安達太良を眺めながら、一日の初めにエネルギーをもらっている。思いがけない悲惨な事件もあるけれど元気出しまっしょい。                     (南)

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