活動紹介

オンライン・ダイジェスト


ふくしま女性フォーラム
〒960-1296
福島県 福島市金谷川1
福島大学 行政政策学類
栗原研究室気付(WFF事務局)

tel 024-548-8278
fax 024-548-8278

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■「うふふ」 第42号(2004.11.25)

今だからできることをやってみましょう!
「いつもうつむいてはいけない。いつも頭を高くあげていなさい。世の中を真っ正面から見つめなさい。」
By ヘレン・ケラー

< 目次 >
未来館チャレンジ公募実践事業 --(2)
趣旨及び内容 ----------------(2)
参考データ ------------------(3)
勉強会 ----------------------(4)
WFF会員の活動-----------------(7)
おしらせ ---------------------(10)
掲示板 -----------------------(10)
編集後記 ---------------------(10)

私たちは次世代に何を引き継ごうとしているのだろうか 私は平和と自由と平等はあきらめたくないのですが…..
代表  栗原 るみ
「次世代育成支援対策推進法」に基づき、301人以上の労働者を雇用する事業主は、「一般事業主行動計画」策定を義務づけられました。私たちは本号の記事でお知らせしているような形で、このことを考えることになりました。
子どもを生みにくい現状を打開したいということは現在の日本の課題として多くの人に共有されています。男女平等な地域社会をめざしている私たちがこの事業をとりくむ視座は、「女の家庭責任」や「家事育児が女性に向いている」としてきた日本の常識を見直すことです。結婚や子どもができたことによる負担やメリットが、仕事をすることに、どのように影響を及ぼしていたのかに関する福島県の調査では、男女により大きな格差が存在しています(図5参照)。これまでの慣習をみなおし、性別にとらわれず、個人が自由に個性を発揮できるとしたら、個人差はあるにしても、社会総体としては男女の家事育児負担がイーブンになる、これがジェンダー主流化政策の主張です。事業主にとってもこうした考え方が常識に転換することが、性別役割分担の現状に批判的な多くの国民の願いです。男女共同参画やジェンダー主流化の視点からこの事業を取り組むには、「男性の働き方の見直し」が焦点だと思っています。
ところで、世界の運命を左右する超大国アメリカでは、世界の世論調査で圧倒的不人気だったブッシュが僅差とはいえ大統領に再選されました。国民の判断は「イラクへの戦争は正しかった」であるとして、早速ファルージャで大規模な掃蕩作戦が挙行され、依然として殺戮が続いています。このような事態を私たちの多くは歓迎していないと思います。しかし、私たちが主権をもつ日本は、戦争と殺戮を、結果として支持しています。
そして、その勢いは、平和憲法を、海外で武力行使ができる自衛軍をもつ憲法にかえる動きとして顕在化しています。私たち多くの意思や思いは、手続き多数決で、取るに足らない意見となっているからです。
そのうえ見逃せないことは、自由民主党の論点整理では、戦争と家族価値の見直しがセットになって提出されていることです。「婚姻・家族における両性平等の規定(24条)は、家族や共同体の価値を重視する観点から見直すべき」とのべています。「男は家族を守るために戦争に、女は家庭に帰って産めよ殖やせよ」ということでしょうか?(詳細は中里見さんの別添の論説をぜひ読んで!)アジア太平洋戦争を支えた考え方の再来のようで、怖いと思います。
男にとっても女にとっても納得できる社会を暴力によって作ることはできないはずです。日本国憲法に体現された第2次世界大戦への国際的反省を前提にしつつ、差別撤廃にむけてすすめる動きを、あきらめてはいけないと思っています。わたしたちの原点である北京女性会議を、エピソードにしてしまわないためにも、ひらかれた世界を見誤ってはならないと思っています。「男は愛する家族を守るために戦場におもむく役割、女性は子どもを産み育てて戦場に送る役割」という「効率的な」役割分業は、結局なんのためだったのか、男も女も見直すことで、ひとりひとりの人権が尊重され、殺したり殺されたりのない、自由な未来の展望を次世代に伝えられるように、議論し考えましょう。


未来館チャレンジ公募実践事業
ふくしま女性フォーラムでは、未来館チャレンジ公募実践事業のもとイベントを開催することになりました。以下、その趣旨及び開催日時等のおしらせと参考データ、そして勉強会についての報告です。

趣旨及び内容

■趣旨
 わが国の少子化の主な原因としては、晩婚化と非婚化の進行があげられており、さらに「夫婦の出生力そのものの低下」という新たな現象が把握されています。その理由として子育てにかかる費用の増加や、仕事と子育ての両立に対する負担感があると指適されています。保育所に子供を入れにくい状況のほかに、仕事と子育ての両立を可能にする雇用環境の整備が充分ではない事、子育て期の労働者の長時間労働や、特に女性労働者は仕事の他に家事・育児の負担から、仕事と家庭の両立が困難な状況に置かれているというのが実態です。
 こういった状況を改善するために、現行の育児休業制度の一層の取得促進と、取得が進まない原因や育児休業給付の財源等についての議論が必要です。また、2003年7月に「次世代育成支援対策推進法」が成立し、2005年4月より10年間の時限立法で、地方自治体に対して地域の子育て機能の再生等の行動計画策定の義務付けと、企業に対しては働き方の見直し等を行なうための行動計画策定を義務付けています。しかしながら、この「次世代育成支援対策推進法」に関して、本県の企業経営者の理解が得られているとは考え難いものがあります。
 しかし、仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備は、女性の経済的自立を促進する事、男女共同参画社会を推進する上でも重要な課題である事から企業における行動計画策定が実質的な取り組みになるように、事業者を交えた意見交換会を行い、単なる啓発活動の一貫ではなく、研究者の意見も聞きながら議論したいと、未来館チャレンジ公募事業に応募していましたが、このたび採用が決定しました。下記の予定で開催しますので、多数の参加をお願いします。

■テーマ
「少子化対策の視点から、
育児休業制度の円滑な促進と
次世代育成支援対策推進法の
効果的な取り組みについて考える」

■日時  2004年12月11日(土)
13:00〜16:30
■場所  福島市 杉妻会館
■講演  テーマ「少子化対策と企業における
効果的支援制度について」
中村 艶子 (同志社大学助教授)
■実情報告
  報告者  県職員、企業経営者、就労者
■パネルディスカッション
  コーディネーター  栗原 るみ
         (ふくしま女性フォーラム代表)
  パネリスト 中村 艶子(同志社大学助教授)
           県職員、企業経営者、労働組合員  (敬称略)
※詳細については同封の案内を参照ください。
参考データ

1 次世代育成支援対策推進法について
●我が国における急速な少子化の進行並びに家庭及び地域を取り巻く環境の変化に伴い、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ育成される環境の整備を図ることを目的として制定された法律で、2005(平成17)年7月9日から2015(平成25)年3月31日までの時限立法である。
●地方公共団体並びに事業主は、国の行動計画策定指針に基づき行動計画の策定等の次世代育成支援対策を迅速かつ重点的に推進するために必要な措置を講じなければならない。
●地方公共団体は国の行動計画策定方針に即して、地域における子育て支援、親子の健康の確保、教育環境の整備、子育て家庭に適した住居環境の確保、仕事と家庭の両立等について、目標、目標達成のために講ずる措置の内容等を記載した行動計画を策定しなければならない。
●事業主と国及び地方公共団体の機関は、従業員又は職員の仕事と家庭の両立等に関し、国の行動計画策定方針に即して、目標、目標達成のための事業主が講じる措置の内容等を記載した行動計画を策定しなければならない。

※次世代育成支援対策推進法を受け、福島県では「新うつくしま子どもプラン」(2001年)の見直しに着手している。2004年1月〜2月にかけて県民に対し意識調査をもとに、新たな行動計画の策定に向け作業を行っている。
図1 今後の次世代育成支援対策をめぐる状況

2 福島県のデータ
■合計特殊出生率及び人口構造
 福島県の出生率は戦後の第1次ベビーブームをピークに低下しており、第2次ベビーブームには一時回復したが、その後は常に減り続けており、2003年には18,823人まで減少した。合計特殊出生率(1人の女性が生涯で出産する平均の子供の数)も同様で、2003年は1.54(全国:1.28)まで低下している。
(出展:厚生労働省「人口動態統計」)
図2 合計特殊出生率の推移(1980年〜2003年)

また、人口構造も大きく変化している。福島県の総人口に占める15歳未満人口の割合は低下し続けており(1990年:20.1%→2004年:14.9%)、他方65歳以上人口の割合は上昇している(1990年:14.3%→2004年:22.1%)。2000年のデータより、全国と比較すると、男女とも15歳未満人口と65歳以上人口の割合が高くなっている。また、2004年10月現在のデータでは、女性の65歳以上人口が高く、約1/4に達していることが分かった。
(出展:総務省統計局「国勢調査」、
福島県統計調査課「現住人口調査」)
図3 年齢3区分人口比率の推移
■性別役割分担意識について
福島県の男女の「結婚後は、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という性別役割分担を肯定する意識は男女ともは低い。女性は78.3%、男性は67.6%が反対((まったく)反対+どちらといえば反対)である。
全国(結婚についての質問「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである」)と比べると、性別役割分担意識に反対の割合は、男女とも約25%程高くなっている。

(出展:内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」(2002年)、福島県「『新うつくしま子供プラン』見直しのための県民意識調査」(2004年))
図4 性別役割分担意識

■子供をもって負担に思う事について
福島県の男女が「子供をもって負担に思う事」はかなり異なっている。「あなたにとって、子どもをもって負担に思うことはどのようなことですか」(複数回答)という質問に対し、男女格差意が激しい項目は、以下の6項目である。すなわち、「時間的余裕がない」(女性割合−男性割合:10.6%)、「精神的負担が大きい」(同:12.4%)、「肉体的疲労」(同:10.9%)、「親としての自信がなくなる」(同:11.8%)、「仕事を続けるのが難しい」(同:11.0%)、「配偶者の協力が得られない」(同:10.8%)である。

すなわち、福島県の性別役割意識は高くはないが、実態としては、主に女性が育児を担当しているのである。


(出展:福島県「『新うつくしま子供プラン』見直しのための県民意識調査」(2004年))
図5 子供をもって負担に思う事


勉強会

11月5日(金)午後5時半から杉妻会館に於いて
公募実践事業に向けての事前学習会を、連合福島政治政策フォーラムの富田勝則氏と、福島県少子高齢社会対策グループ主査岡崎拓哉氏をお招きして実施しました。

学習会テーマ1
「次世代育成支援対策推進法
に基づく自治体における行動計画」
講師: 岡崎拓哉氏
(福島県少子高齢社会対策グループ主査)
岡崎氏からは、次世代育成支援対策推進法に基づく福島県の行動計画である「新うつくしま子どもプラン」について説明を受けました。以下、要約です。
基本理念
○父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭その他の場において、子育ての意義についての理解が深められ、かつ子育てに ともなう喜びが実感されるように配慮して行わなければならない。
○策定の目的、関係者の連携、次世代育成支援対策地域協議会の活用

策定に関する基本的な事項 
1.計画策定に当たっての基本的な事項
@子供の視点
A次代の親づくりという視点
Bサービス利用者の視点
C社会全体による支援の視点
Dすべての子どもと家庭への支援の視点
(これに関しては、従来は働く女性中心であったものが子育ての孤立化という実態を踏まえて専業主婦も視野に入れるとの事)
E地域における社会資源の効果的な活用の視点
Fサービスの質の視点  
G地域特性の視点
2.必要とされる手続き
○サービスの量的・質的なニーズを把握するため、市町村はサービス対象者に対するニーズ調査を実施。
○説明会の開催等により住民の意見を反映させるとともに、策定した計画を公表。
3.策定の時期等
○5年を1期とした計画を平成16年中に策定し、5年後に見直し。
4.実施状況の点検及び推進体制
○各年度において実施状況を把握、点検しつつ、実施状況を公表。

内容に関する事項
1.地域における子育ての支援
○児童福祉法に規定する子育て支援事業をはじめとする地域における子育て支援サービスの充実。
・居宅支援     ・短期預かり
・相談、交流    ・子育て支援コーディネート
○保育計画等に基づく保育所受入れ児童数の計画的な拡張等の保育サービスの充実
○地域における子育て支援のネットワークづくり
○児童館、公民館等を活用した児童の居場所づくりなど、児童の健全育成の取組の推進
○地域の高齢者が参画した世代間交流の推進、余裕教室や商店街の空き店舗等を活用した子育て支援サービスの推進  等
2.母性並びに乳児及び幼児等の健康の確保及び増進
○乳幼児検診の場を活用した親への相談指導等の実施、「いいお産」の適切な普及、妊産婦に対する相談支援の充実など、子どもや母親の健康の確保
○発達段階に応じた食に関する学習の機会や食事づくり等の体験活動を進めるなど、食育の推進
○性に関する健全な意識の涵養や正しい知識の普及など、思春期保健対策の充実
○小児科医の充実、小児慢性特定疾患治療研究事業の推進、不妊治療対策の推進
3.子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備
○子どもを生み育てる事の意義に関する教育・啓発の推進
○家庭を築き、子どもを育てたい男女の希望に資する地域社会の環境整備の推進
○中・高生等が子育ての意義や大切さを理解できるよう、乳幼児とふれあう機会を拡充
○不安定就労若年者(フリーター)等に対する意識啓発や職業訓練などの実施
○確かな学力の向上、豊かな心や健やかな体の育成、信頼される学校づくり、幼児教育の充実など、子どもの生きる力の育成に向けた学校の教育環境等の整備
○発達段階に応じた家庭教育に関する学習機会・情報の提供。子育て経験者等の「子育てサポーター」の養成・配置など、家庭教育への支援の充実
○自然環境等を活用した子どもの多様な体験活動の機会の充実など、地域の教育力の向上
○子どもを取り巻く有害環境対策の推進
4.子育てを支援する生活環境の整備
○良質なファミリー向け賃貸住宅の供給支援など、子育てを支援する広くゆとりある住宅も確保
○公共賃貸住宅等と子育て支援施設の一体的整備など良好な居住環境の確保
○子ども等が安全・安心に通行することができる道路交通環境の整備
○公共施設等における「子育てバリアフリー」の推進
○子どもが犯罪等の被害に遭わないための安全・安心まちづくりの推進
5.職業生活と家庭生活との両立の推進
○多様な働き方の実現、男性を含めた働き方の見直し等を図るための広報。啓発等の推進
○仕事と子育ての両立支援のための体制の整備、関係法制度等の広報・啓発等の推進。
6.子ども等の安全の確保
○子どもを交通事故から守るための交通安全教育の推進、チャイルドシートの正しい使用の徹底
○子どもを犯罪等の被害から守るための活動の推進
○犯罪、いじめ等により被害を受けた子どもの立ち直り支援
7.要保護児童への対応などきめ細かな取組の推進
○児童虐待防止対策の充実
○母子家庭等の自立支援の推進
○障害児施策の充実

尚、県の調査によると、福島県の女性は結婚・出産後も仕事を続け、自分自身のライフスタイルを大事にしたいと考える割合が全国に比較して高いという結果が出た事が報告されました。

(福島県「『新うつくしま子供プラン』見直しのための県民意識調査」 
(2004年))
図6 結婚後の自身の目標についての考え
(自分だけの目標を持つことに対して)
また、県全体の地域における行動計画は少子高齢社会対策グループで、県庁の事業主としての立場からの行動計画は県人事領域人事グループで現在策定中との事です。
会員からは、ただ国のマニュアルをなぞっただけの行動計画ではなく、福島県の実態に即し、独自性のある、全国に発信できるような行動計画を策定して欲しいなどの要望も出され、白熱した学習会となりました
(報告 丸山八重子)

学習会テーマ2
「連合福島政治政策フォーラムの
次世代育成支援に関する取り組みについて
〜次世代育成推進法に基づく一般事業主行動計画〜」
講師: 富田勝則氏(連合福島政治政策フォーラム)
 連合福島政治政策フォーラムは、勤労者、各級議会議員、労働組合など各種団体代表者が参加し組織されており、国民的な重要課題・政策のあり方について自由に討議する場としての活動を行っている。意見が統一した課題については、国・県や各市町村ならびに政党に政策提言をしている。富田氏から次世代育成支援に関しての取り組みについてお話を伺った。
・・*・・*・・*・・*・・

連合福島政治政策フォーラムは、福島県知事に対して「次世代育成支援の積極的推進について」という政策提言をした。
次世代育成支援対策推進法の積極的な実施を求め、その内容として、次世代育成支援対策地域協議会の設置運営についてや、働き方の見直しについてが含まれている。この政策提言にあたり、連合福島政治政策フォーラムは県内の少子化問題に対して子育ての状況把握のため、県北地域を中心に、保育園・幼稚園の保護者ならびに構成組織の組合員を対象に「子育てに関する実施調査」のアンケート(1750部依頼、回収947部、回収率54.1%、個別意見157)を実施した。
このアンケートの結果をもとに、不安や負担感を緩和・軽減し、安心して子供を生み育てることができる環境づくりのための提言がなされた。アンケートの回答者の性別は、男性の回答が24.1%、女性の回答が75.9%で、年齢別では20代が10.2%、30代が70.0%、40代が19.8%であった。職業は、本人および配偶者の組合せでみると回答者本人で正規雇用とパート・アルバイトで71.3%、配偶者回答で同様に84.1%と共働き世帯が多いことがうかがえた。
回答者の子どもの数は、1人が23.4%、2人が52.9%と半数を占め、3人が20.8%であったが、理想的と考える子どもの人数は、3人が最も多く60.4%、次いで2人の31.1%で、理想と現実の人数差の主な要因は、「経済的に困難だから」が48.8%で約半数を占めた。
育児・介護休業法について「知っている」「大体知っている」を合わせて84.8%であるが、「利用している」と答えたのは37.0%で、「利用しにくい」と答えたものは31.7%あり、その理由として、「上司・同僚の理解が得られない」35.1%「賃金保障が不十分」20.9%「元の職場に復帰できない」10.6%となった。子育てをしていて、充実してほしいものとして「育児費用に対する公的な経済援助」が19.9%、「子供が病気の時の看護休暇制度」は17.7%、続いて「育児の為の短時間勤務制度」11.9%「休業中の賃金補償」10.3%であった。
子どもを産み育てたくても経済的な理由で断念する方も多く、さらに制度の充実ととして、育児費用の経済的援助や、育児休業取得時の賃金補償などは重要な課題である。さらに、育児・介護休業法を利用しやすい雰囲気を職場でつくることや、管理職の意識を高めることも必要であるといえる。
家庭における子育てについては、1歳未満乳幼児の子育ての妻の分担が68.3%、夫が16.7%、理想は夫33.5%で、1歳から就学前の子どもでは、妻の分担62.6%、夫20.6%、理想は夫35.7%、小学校入学から卒業までの子どもでは、妻の分担が63.5%で、夫が24.4%、理想は夫38.4%となっており、それぞれ、現実と理想のギャップが示され、さらには、子どもの病気やケガの場合の看護では、妻の負担が73.8%と高く、夫の参加は15.7%、理想は夫35.5%、しつけの分担も妻が60.2%、夫29.6%と比較的高いが、理想は、夫43.8%と半分近い分担が望まれている。
先に示したように、回答者の多くが共働きの女性であるということから見て、働く女性の負担の大きさがうかがえる。また、男性が子育てに参加しやすい地域における環境整備や、制度、職場内環境も含めた社会システムの構築を求めていく必要があることがわかる。さらに実態調査で得た個別意見からは現行制度が充分に活用されず苦しむ女性たちの実例が示され、女性労働者が家庭、職場において自己の権利を行使することの困難さと闘っている様子が語られている。
・・*・・*・・*・・*・・

富田氏は、勤務していたNTTにおいて、県内ではじめて男性が育児休業を取得した事例をあげ、またご自身も同じ職場で共働きをする中で働き方を工夫してきたという実体験をまじえ、企業においての働き方を見直していくことの必要性と、それが社会全体の課題であることを強調なさった。少子化対策として、単に女性労働者の仕事と家庭の両立を考えるのではなく、全ての労働者の働き方を見直すという視点から企業が社会的責任という意識を持ち次世代育成支援に取組むことが急務であると考える。
次世代育成支援対策推進法の個々の行動計画が労働者、住民のニーズに対応した実行性のあるものとなり、社会全体の次世代育成を推進してくれることを期待する。
(報告 金子恵美)


WFF活動の報告 2004 autumn
■藍原寛子 パネラー報告
男性のためでもある男女共同参画
〜ドメスティック・バイオレンスと男性の性意識を手がかりとして〜
10月3日(土)、二本松市の県男女共生センターで「男性のためでもある男女共同参画 ドメスティック・バイオレンスと男性の性意識を手がかりとして」が開かれた。第一部は同センターの公募研究二件の中間報告、第二部はシンポジウムで、あいにくの雨にも関わらず、一般市民、ふくしま女性フォーラム会員らも参加した。
【第一部・公募研究中間報告】
男女共生センターの2003〜2004年度の公募研究の中間報告です。

「親密な関係に潜む女性への暴力
-韓国との政治比較から見えてくる日本の課題-」
(渡辺秀樹慶応大学教授)
報告要旨
DVが起こりうる社会的な要因を探るのが目的。「ストレス」「資源」「成長期の暴力経験」「コントロール(両者の関係など)」「結婚までの経歴(結婚年齢など)」「社会規範(家父長的イデオロギー)」「社会的ネットワーク」「DV関連法認知度」の九項目を発生要因の仮説として設定、福島市と目黒区の二十五歳から五十五歳の男女個人を対象とした意識調査を実施した。
現段階では、福島市と目黒区では大きな差はないこと、DVの種類によって要因が異なる可能性が指摘される。DVの種類とは「精神的DV」と「身体的DV」の2種類。精神的DVはストレスやコントロール要因によって、身体的DVは資源要因、社会規範要因が大きいとみられる。今後最終報告に向け、個別インタビューなど詳細を加え最終分析する。

「男性の性意識に関する実証的研究:セクシュアリティの歴史的表象と性風俗産業の
フィールドワーク」
(田渕六郎名古屋大学講師)
報告要旨
男女の性の二重基準が成立する要因について、性風俗産業に対する男性の意識から探るのが目的。福島県と愛知県の二十歳から六十歳までの男性を対象とした質問紙調査、郡山市と福島市での野外調査、性風俗産業関係者を対象としたインタビュー調査などを実施。
これまでの調査で、性全般に対するタブー視は薄れ、男性は性に対して性欲処理、快楽以外の癒しやぬくもりなどの親密性を求めており、その傾向が性風俗へも伝播しているのではないかとみられる。性風俗に従事する女性の意識は、肯定と否定が共存する矛盾した様相である。

【第二部・シンポジウム】
「なぜDVやセクハラ、買春などをしてしまうのか。男性の意識とその背景にあるものは何か」「具体的な対応策はあるのか」「男女共同参画を進めるために男性がなすべきことはなにか」などについて出席者が活発に意見を交換した。以下、主な意見を挙げる。

出席者
山田昌弘(東京学芸大教授)
渡辺秀樹(慶応大学教授)
田渕六郎(名古屋大学講師)
堀琴美(県女性のための相談支援センター所長)
藍原寛子(福島民友新聞社記者)


山田: 「児童相談所の相談件数増加や青少年の凶悪犯罪などが増加し、少子化やフリーター増加、仕事も勉強も何もしない若者の増加が世界的に起きている。経済のグローバル化に伴い、人々の生活が大きく変わっているのではないか。男一人の収入で豊かな生活が送れる時代は終わった。男性のコミュニケーション能力不足が指摘され、『男は強くなければならない』といった意識は変化している。五十歳の12%が一度も結婚したことがなく、この層では交際している異性がいない割合も高い。性風俗へ行く割合も、この層に多い可能性があると見られるのではないか」

堀: 「以前、DVをする男性像は『巨人の星』のお父さん星一徹タイプだった。しかし現在はそうではない。簡単にはカテゴリー化できないが、問題を抱えていても意識化せずいらいらしたり、妻と話し合いができないタイプなど。DVのなかでも、特に性虐待は女性の尊厳やプライドをずたずたにする深刻な問題で、男性がそれを学ぶ「教育装置」をずっと考えていたが、日本では性虐待的なポルノやインターネットのアダルトサイトだと気付いた。DV加害男性の再教育システムを行う米国のチャックス・ターナー氏に会い、システムについて視察した。加害者の再教育は1,2年で完成するような簡単なものではない。米国の加害者再教育プログラムは女性たちの考えや理念、経験をもとに主導的にその考えを取り入れている。我々もそうした方法を考えるべきではないか」

渡辺: 「日本人の男性はコミュニケーション能力が不十分で、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを避けてメールを使うということもあるのでは。DVや買春をする男性のメンタリティに共通点があるのではないのか。さらに相談相手がなく一人で悩む男性、他に行き場がないというときにより暴力が続き、ひどくなるのでは。男性にも相談に行く場が必要だと思う。男性にとってコミュニケーションとコーディネーションとネットワークということがこれから大事になるのではないか」

田渕: 「日本人男性はグループになって性風俗に行くことがある。こういうことをしているのは日本人ぐらいではないのか。必ずしも行きたくて行っているのではない。調査の中では、五十代の男性を中心として、仕事を理由として買春を正当化する意識の研究もしており、最終報告でまとめたい。男性もいろいろな人がいる。まずは意識改革しやすい男性が中心になり、他の男性を支えるようなことも必要ではないか」

藍原: 「新聞社の現場では、不快な表現をなくすように議論が始まっている。女性がセクハラを指摘する段階を経て、現在は男性同士がセクハラや不快表現について意見交換し始めている。男性のコミュニケーション能力が不十分だというのは実感しており、取材先でも何を話して良いか分からないという男性も多い。しかし自分の勤務先に関して言えば、男性が自分の家庭や家族などを話しはじめてから、会社の雰囲気が変わってきた」

◇フロアからの質問、意見 等
・調査サンプル数が少ないのでは。
・性意識の調査は難しいが、インターネットなどを使った調査も必要では。
・50歳代男性の未婚率と性風俗利用を結びつけるのは無理があるのでは。

(報告 藍原寛子)

■佐藤良子 修士論文報告
日本の「ジェンダー主流化」に関する一考察
-都道府県及び政令指定都市の男女共同参画担当課(室)の実態調査を手がかりに-

 ジェンダー主流化とは、あらゆる政策、計画にジェンダー格差解消の視点を組み込み、男性中心の社会構造をジェンダー平等なものへと再構築すべきことを戦略目標と掲げた新しいジェンダー平等戦略です。1995年の北京女性会議において採択されて以降、日本はこの戦略を受け、女性政策の枠組みを大きく転換しました。しかし、その後の日本社会をみると、「ジェンダー主流化」の方向に変化しているようにはみえません。
本論文では、その理由について、以下の2点から考察をおこないました。 第1に、ジェンダー主流化の背景(成立過程)について検討しました。ここでは北欧諸国の「職業生活と家庭生活の両立」「権利の個人化」に関する政策が、欧州連合の女性環境整備を媒介に、国際連合へと提起されるまでの過程を明らかにしました。
第2に、日本におけるジェンダー主流化について、方向転換が進まない理由を検討しました。最初に、国内政策におけるジェンダー主流化政策の展開過程より「性別に偏りのない社会システムの構築」に関する具体策が頓挫している現状を明らかにしました。次に、地方自治体のジェンダー主流化の受容について、都道府県及び政令指定都市に対し、アンケート調査を実施し、その実情を調査しました。
図7 アンケート回答者の「ジェンダー主流化」認知度

そして、アンケートの結果より、ジェンダー主流化を「全く知らない・意味を知らない」と答えた職員がいる男女共同参画担当部局が37.2%にものぼることが判明しました。また、熱心な担当者は、ジェンダー主流化に向けて、有効な政策手段の開発に腐心していることも明らかにできました(前頁図7参照)。
以上より、本研究で明らかになったことは、日本の政策におけるジェンダー主流化の位置づけです。すなわち、この戦略は、日本の政策にはまだ浸透していないため、具体的な成果はいまだなく、かつ地方自治体の男女共同参画の現場では混乱が生じていることがわかりました。また、少数の自治体では先進的な取り組みを実施していることも知ることができました。
そして、本論文では、地方自治体のジェンダー主流化の課題として、@推進体制の構築、A職員の意識啓発、B施策・事業に対する評価手法の確立、の3点を指摘しました。
本研究は、上記の課題を踏まえたうえで展望を提起できるような実態は明らかになっていないため、その究明を今後の課題としたいと考えています。
・・*・・*・・*・・*・・

修士論文の成果を報告する機会を与えていただきありがとうございました。また、作成に関しては、たくさんの方からご協力と暖かい励ましをいただきました。心よりお礼申し上げます。
(報告 佐藤良子)


掲示板
会員からの貴重なメッセージをいただきました。

機関紙「うふふ」の編集スタッフ大募集!!
機関紙「うふふ」が継続のピンチにあります!編集に興味のある方は、栗原研究室へ連絡下さい。Wordを使える方ならば大丈夫!問われるのはどのような紙面を作りたいかの構想力、そして「やる気」です!
◆「うふふ」を読んで感じたことはたくさんあるが・・・・・・。セマイところ、アサイところ、長年暮らしているものにとって、うまく文章を綴ることが苦手。「うふふ」をいままで味わったことのないスパイスとして頭にふりかけてみました。今後ともよろしく。      (京都府 菅野孝子さん)
◆いつもお世話になっております。「うふふ」の会員になりましたが、今年度はできる限り、勉強会などに参加したいと考えています。    (福島市 高橋粛子さん)
ありがとうごさいました。近況、感想など何でも結構です。ぜひお待ちしております。


おしらせ
女性のための相談支援センターからのお願い
 女性のための相談支援センターでは入所している女性の方々が自立に向けて再出発するためのアパート等に移るときの最小限の電化製品等が必要になります。会員の皆さんのご家庭で不要になっている下記物品があれば寄贈願います。

■寄贈いただいた物品
冷蔵庫、洗濯機、掃除機、コタツ、テレビ、ストーブ等の電化製品で故障していないもの、食器(できれば未使用のもの)、衣類(クリーニング等洗濯されているもの)

■連絡先: 福島県女性のための相談支援センター
〒960-8134 福島市上浜町6番3号
電話 024-522-1117


編集後記
 日々寒くなっておりますが、会員の皆様はいかがお過ごしでしょうか。はじめに、前号に続き、本号も発行が大幅に遅れましたことをお詫び申し上げます。本号を読んで、イベントに行きたいと思った方が増えれば幸いです。(R.S)

=お詫びとお願い=
●住所変更などでご迷惑をおかけした方にお詫びいたします。
●会費を未だの方よろしくお願いいたします。

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